本物のサンタクロース

私は2年前に夫を事故で亡くして今はシングルマザーとして小学2年生の一人息子と暮らしてます。家は裕福ではなく私のパートでやりくりしてます。

　12月のクリスマスを前に息子は
「任天堂◯イッチとソフトの△△をサンタさんにプレゼントしてもらうんだ！」
と意気揚々と言ってきました。
「あらそう？それはよかったねー😆」
と言いその場をあとにしました。しかし値段を調べたら今の家計でゲーム器とソフトを買うのはとても厳しいと分かりました。あんな目を爛々とさせた息子をがっかりさせるのは嫌だし、かといってどこか宛てがあるわけでもないです。どうしようかと迷ってるうちにクリスマスの日がきてしまいました。

　そこで私は意を決して息子に謝ることにしました。朝起きてすぐに息子の部屋に行き、早速謝ろうとした矢先、ほんの僅かな差で息子が先に口を開いたのです。

「ママ！サンタさんからプレゼント貰えたよ！」
とゲーム器を掲げて見せてきました。私は口をポカーンとあけたまましばらく立ち尽くしてました。すると息子が怪訝そうにママ？と言ってきたので正気に戻って
「そ、それはよかったねー！」
といいそそくさと朝食の用意をしにいきました。朝食を作りながら考えました。

　私たちは2人暮らしで私が買ってないから息子が買った？いや息子がそんな大金持ってるわけないしまさか万引き？でもクリスマス用の包装紙があったので買ったのは確実で•••また、誰かが家に入った可能性も考えました。玄関や窓などちゃんと鍵がかかってましたのでそれもなしで思考が堂々巡りしました。

　朝食を終えて頭がわけ分かんないままパートに出かけようとしてドアを開けるついでにドアの郵便受けを開けてみると、差出人不明の封筒が一通入ってました。何かと思い開けてみると手紙が入っていて

”息子くん　メリークリスマス　本物のサンタクロースより“

と一言書いてあるだけでした。