私たちは助けられなかった

その子が虐待により亡くなったというニュースを見たのです。

その後、母が確認したところ、虐待死で亡くなったその子は私の家の付近に住んでいたようでした。

食事を与えないネグレクトが行われ、衰弱死したと聞きました。

私たちは気づいてあげられたかもしれないところに気づいてあげられなかったのです。

少しも虐待を疑わなかった自分を責め、母はしばらくの間落ち込んで塞ぎこんでしまっていました。

それからもう一つ、私たちが最後に会ったあの日、もうその子は亡くなっていたと後になって聞きました。

つまり最後に家を訪ねてきたとき、もう彼女は死んでいたはずなのです。

私たちはその日を思い出し、少し悲しくなります。

もしかしたら助けられたかもしれない命、でも助けられませんでした。

でも最後の最後で楽しい思い出を作って、天国に行けてたらいいねと私は母と時折そんな話をします。

生まれ変わったら、今度こそ幸せな家庭に生まれてほしいと願っています。