見違えたような容貌

そんなわけないとも言えない空気感だったのです。

不思議なことにその全員が生まれつき綺麗ではなかったそうです。

小さい頃は虐められるくらいに不細工で、それが徐々に花開くように綺麗になっていくのだそうです。そして15歳で全員散る。

そんな話をすぐに信じるほど、私は素直な性格はしていませんでした。

「そんなわけないって」と私は言いましたが、幼馴染は寂しそうに笑うだけでした。

そんな感じで昔に戻ったようにその日は二人でおしゃべりして、次の日からはまた前の距離感に戻りました。

華やかな面々に囲まれる彼女とずっと仲良くはいられなかったです。

それから3年経ち、幼馴染は不慮の事故によってこの世を去りました。

あの子が言っていたとおり、15歳でこの世を去ったのです。

周りはしばらく美人薄命だと囃し立てましたが、しばらくしたらそんな話も風化してしまっていました。

今も幼馴染のあの日の会話を思い出します。

幼馴染は決して綺麗になりたかったわけじゃないと思うのです。

それよりも長く生きたかったんじゃないかなと思います。

最後に私に相談してきたときに、私はその言葉を信じずに突き放してしまうようなことを言いました。

今もあれを後悔しており、毎年お墓参りには必ず行くようにしています。