それ自分じゃないです
投稿者:太郎山 (1)
私は普段から、友人に会う時も深めのキャップをかぶり、マスクを着けて会っていました。時には、フードもかぶって、知らない人が見れば不審者といわれても仕方ない恰好でした。
ただ、人と顔を合わせてしゃべるのが苦手だったり、口元を見せるのが嫌だったりと、かなりの人見知りでしたので、友人内ではその姿こそ私の普段のスタイルだと定着していました。また、私は話すのが得意な方ではなかったので、会話する時も聞き専門でした。
そんなある日、友人からお礼の連絡をもらいました。私は何かしてあげた覚えがなかったので、「何かしたっけ?」と聞きました。友人は「話聞いてくれたやん」と言い、確かに私はその友人の話をテキスト越しで聞いていたので、何の疑問も持たずどういたしましてと返しました。
また別の日、ほかの友人から「お菓子おいしかった。ありがとう。」とメッセージをもらいました。私は送ったお菓子だと思い、いつものようにどういたしまして、返しました。
その後も、友人たちから、いろいろなお礼の連絡をもらいました。どれもなんとなく覚えがあったので、どういたしましてと返してました。
しかし、あまりのお礼の多さに、疑問を持ち始め、それは本当に私かと尋ねたら10年も一緒にいるのに今更間違えるわけないと怒られてしまいました。なので、私は気にしないことにしました。
それから二か月ほど経ち、友人からのお礼ラッシュを忘れかけていたころ、突然元クラスメイトから「今日の飲み会来てくれてありがとう」と言われました。
私はそのメッセージを読んだ時、返信などできませんでした。
なぜなら、私は3年前から海外に留学中で、その間日本に居ませんでした。友人たちには留学をすることを伝えていましたが、そのクラスメイトとは接点があまりなかったので留学の事を伝えてませんでした。
ですが、彼女が指している人は自分ではないのは確かでした。人違いだと伝えましたが、覚えのある服装を伝えられ、恐怖心が増しました。
もしかしてと思い、お礼を伝えてきた10年来の友人たちに、お礼の内容は直接されたのか訊きました。すると、驚くことにみんな直接されたことだといい、「帰ってきてるなら教えてや、急に来たからびっくりしたわ」といわれました。
私の頭の中は疑問と恐怖でぐちゃぐちゃになってしまい、急いで友人に電話をし自分がまだ海外にいる事を伝えました。
それを聞いた友人は、私の実家に訊ねて、本当に私が3年ほど日本に帰ってないことを知りました。友人もその事実に恐怖で震えてしまい、しばらく人間不信になってしまったようです。
その後日本に帰った時、今までのスタイルはやめろと怒られ、しばらくパスポートで本人確認される日々でした。
誰かが傷つくなどの実害がなかったからこの件は自然と収まりました。
しかし、10年来の友人が見分けられないほど、容姿や声が似てるなんて、結局その人は誰だったのでしょう。
まさにドッペル何とかですよ。