道の駅の知らないおばあちゃん
投稿者:ぴ (414)
私はトイレ休憩で、その道の駅に降りました。
友達との一泊旅行の帰り道で、友達は全員自宅に降ろしてあとは家に帰るだけになっていました。
途中の高速でビュンビュンと飛ばして車を運転していたら突然トイレに行きたくなったのです。
道の駅に降りるやいなや足早にトイレに行き、外に出たら人がチラホラおり、なんとなく誘われるようにして、その道の駅で買い物したのです。
新鮮なフルーツや道の駅人気のお芋のスイーツがすごくおいしそうで、気づいたら30分近くその道の駅で買い物をしていたと思います。
ソフトクリームをぺろっと一人で食べ、そろそろ行こうかなと思って立ち上がったとき、隣の人から声をかけられたのです。
それは年のいったおばあちゃんでした。腰が曲がったおばあちゃんが私に道を尋ねてきたのです。
道の駅で道を尋ねられた経験がなかったので、ちょっと慌てました。
でもよくよく聞くとおばあちゃんが行きたかった場所はどうやら私の家の近くだったみたいで、よく見知った場所だったので、スムーズに道を答えてあげることができたのです。
おばあちゃんは私が教えてあげるとすごく喜んで、何度も「ありがとう」と頭を下げてくれました。
私も私で良いことしたなと思ったし、少しいい気分で家に帰宅することになりました。
そっからの運転は異様に肩が凝りました。
それまでにないくらいに急に肩が重いと感じてきて、途中の店で降りてシップを買うくらいでした。
それから何度か線香のにおいが漂ってきて、耳に変な声が聞こえてくることがあったのです。
車で音楽もラジオもつけていないのに、耳に念仏みたいな声が聞こえます。
何度か、自分が疲れているのかと心配になって、途中で休憩を挟むくらいには変な体験でした。
やっと家に帰りついて、車を降りたときには夕方になっていました。
思ったよりも帰り道に時間がかかってしまい、ぐったりと疲れていました。
私が車を降りて、家に入ろうとするまでに顔見知りのご近所さんに鉢合わせしました。
体がなんだか酷く疲れていたので、頭を下げて挨拶するくらいに留めました。
ただご近所さんはちらちらとこっちを見て、何か話しかけたそうにしていました。
その反応に少しだけ首をかしげたことを覚えています。
その翌日朝起きたら、ふわっと線香の香りがしたような気がして、顔をしかめました。昨日から縁があるにおいでした。
家を出てごみを出していると、昨日帰りに会ったご近所さんと鉢合いました。
あちゃーと思ったけど、やっぱり昨日どこに行っていたのかと尋ねられました。
まあそこは普通に友達との旅行の話をしたのですが、そこで不思議なことを尋ねられたのです。
「旅行におばあちゃんも連れていったの?」と、ご近所さんに聞かれたのでした。
突然出てきたおばあちゃんに不思議になりながら、なんの話かと聞くと、昨日車に一緒に乗っていたおばあちゃんと言われました。
そんな人乗せてないと私は言ったのですが、でも一緒に車から降りてきたのを見たよと言われたのです。
見間違いじゃないかと聞きましたが、後ろを歩いていくのを見たし、家に一緒に入っていくのも見たと言われて、ぞっとするものがありました。
大変だったでしょうが、なんとなくいいことしてあげたような気がします。