山中での出来事
投稿者:Guten (1)
秋、わたしの地元では山菜採りのシーズンが最盛期を迎えます。
みなそれぞれ毎年山菜が実る山の場所を覚えており、我先にとシーズンが始まると山に出掛けます。
これはわたしの地元の近所の方の体験談なのですが午前に一通り家事を終えてタケノコを採りにと山に入りました。
今年は暑く雨も多かったせいか豊作。夢中になりタケノコ採りを楽しんでいたそうです。
ふと気付くと道が分からなくなってしまっていました。
夜長になる秋、みるみる日が落ちて夜に。
焦って動き回ってはいけないと大きな木の下に腰をかけることに。
少し行くだけだからと携帯電話は自宅に置いてきたまま。腕時計もしてこない。
あたりは光1つなく真っ暗闇に。
完全に遭難してしまったそうです。
夜が明けるのと助けが来るのをこのまま待とうと木の下で目線を下げながらじっとしていると、スッと隣に男性が座ってきたそうです。
白い帽子に防寒ジャンパー、山菜カゴを携えていたそうです。
『あら、あなたも道がわからなくなったの?』
『…』
『完全に日も暮れて、わたしたち遭難してしまったわね。』
『…』
男性は一言も言葉を発しなかったそう。
ただただ隣にいて座ってたそうです。
何時間たったのでしょうか…
辺りがわずかに明るくなってきた頃、その男性はスッ立ち上がり、山の奥に向けて歩きだしたそう。
『あまり動き回らないようにしましょう。朝が来れば助けが来るかもしれないから一緒に待ちましょう。』
と声をかけたのですが、振り向きもせず歩きだして行ってしまったそう。
朝露で座っていた地面が湿ってスボンが濡れているのを感じ、ほんの一瞬だけズボンに目を向けてからまた男性の方を見ると、たった今の出来事と思えないほど男性は姿を消していたそうです。
まもなく完全に朝を迎え、帰宅しないことを不思議に思った家族が捜索願いを出してくれていたため、捜索隊が助けに来てくれ、近所の方は無事山を降りれたそう。
自宅に帰ってきてからもあの男性は何だったのだろうと思い返す日が続いたそうです。
もしかしたら、以前にあの山で同様に遭難し、遺体があげられないまま彷徨っている霊だったのかもしれません。自分と同じことにならないように日が登るまで見守っていてくれていたのかもしれません。
秋にタケノコ・・・・
面妖な・・・・
↑それは思ったわ。
秋はキノコだよなぁ。
暑い→多雨→秋にきのこ豊作