お持ち帰り

私の彼の家のお風呂場には鏡がありません。

というのも、少しさかのぼってのエピソードになるのですが、彼は子供の頃からうっすらとした霊感？のようなものがあるようで、毛むくじゃらのおまんじゅうのような生物が家の中を走っていたり、部活での帰り道に遠巻きに人込みが見えても友達には見えてないなど、干渉はないものの、不思議なものは見えるといった特殊体質のようでした。

大人になってからも、昼間に横断歩道の向こうに黒いモヤの塊が見え、青信号になってすれざまに襲い掛かってきたと思ったら消えていた…などまずまず経験していたようです。

社会人になり、ある時歩きながらモンスターをゲットしていくスマホアプリが流行った時期のことです。
彼はそのシリーズが大好きなこともあり見事どハマり。通勤中や帰宅してからも歩き倒してバトルしてゲットして…を繰り返していました。

夏くらいの時期だったので夜の散歩がちょうどよく、夜中の1時すぎに家を出てプレイした時があったそうです。
ちょっと特別なものをゲットできたようで、そこそこ大きい声で「やった！」と言ったところ「どうしたんですか」と後ろから男性の声がしたため、「色違いが…」と言いながら振り向くとそこには誰もいませんでした。

聞き間違いにしてはかなりはっきり聞こえていたため、恐ろしくなってすぐ家に帰りその日は眠ったようです。

次の日は夜勤だったため、昼間に準備をし夕方に出勤。
何事もなく仕事を終え帰宅、シャワーを浴びようとお風呂場に行ったところ お風呂場の鏡が割れて粉々になって床に散らばっていました。

不動産会社にすぐ連絡し見てもらうと、「老朽化が原因ではないか、新に取り付けることも可能」とのこと。
ちなみに鏡を支える金具の部分は特に壊れておらず、鏡だけが割れた状況みたいでした。

結局なんだかもう怖くなってしまい、取り付けはしない方針にしたためにお風呂場には鏡がないようです。
半年後に同棲する予定のため、うちの鏡は壊れないといいね と言いながらも、ちょっと今から不安です。