祖父の最後の挨拶
投稿者:フォンダン (1)
短編
2023/01/12
08:02
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私が小学校5年生の時に祖父が亡くなりました。長い間入院しており、病院のトイレで倒れていて、発見されたときにはすでに心肺停止していたそうです。そのため、家族は誰も最期に立ち会うことができませんでした。
祖父の遺体が病院から帰ってきて、火葬までの間、自宅の仏間に寝かされました。祖父は穏やかな顔で、ただ眠っているように見えました。
火葬後、いとこがふたり、兄の部屋に泊まった日のことです。
私と兄の部屋は隣で、夜中に、トントントンとゆっくり階段を上がってくる足音が聞こえ、私の部屋のドアがカチャッと開きました。
その後、私の部屋のドアは閉まらず、隣の兄の部屋のドアが開く音が聞こえました。
寝ぼけまなこだったので、お母さんが見に来たのかなぁ~と子供ながらに思いました。
翌日、いとこたちと一緒に朝ごはんを食べている際にそのことを思い出して、「お母さん、昨日夜中に部屋に来た?ドア開けた?」と聞きました。
母は「上に上がってないよ。ずっと下で寝ていたよ」と。
いとこふたりは何も気づかず寝ていたそうです。いとこと一緒の部屋で寝ていた兄は、「そういえば、階段の音は聞いてないけど、ドアは開いた気がした」と。いとこたちは一気に青ざめて、怖いこと言わないで、と怯えていました。
信心深い母いわく、「きっとおじいちゃんが、最後にあんたたち孫の顔を見に来たんだね」と言っていました。
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