金縛り
投稿者:anyo (3)
短編
2022/12/28
09:28
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数年前に金縛りにあった時の話です。
眠りにつこうとうとうとしていたら、ふと横に誰かの気配を感じました。
しかし、私の家は一人暮らしで他に人はいません。
その人は、ぶつぶつと何かを呟いているようでした。最初は意味がわかりませんでしたが、チーン……という澄んだ金属音でそれが何かわかりました。
お経、それも枕経です。
枕経は死んだばかりの人に唱えるもの。もしかして自分は死んでしまっているのか?耳に聞こえる低いお経の声に震えが止まらないはずが、身体はピクリとも動きません。動け動け……と必死に念じますが、身体は硬直しきっていて全く身動きが取れない状態です。
枕経がいよいよ佳境にさしかかり、ついにその声が枕経を唱えきってしまいました。チーン……チーン……と金属の音が響き渡ります。その時でした。
耳元で、低い低い男の人の声が、私に
「あなたはもう死にました」
と告げたのです。
恐怖のあまり私は気を失ってしまいました。
ふと気付けば、朝になっていて私は無事生きていました。あの怖い体験は夢か……と思いかけましたが、次の瞬間私はぎょっとしました。
部屋の中にはお線香の匂いがほんのり漂っていたのです。
あれが本当に夢だったのかどうか、私は数年経つ今も自信が持てずにいます。
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怖い😱
死なずに良かったですね。
ご無事で何よりです。