看護棟の声
投稿者:きゅむみゅ (1)
私の高校には昔看護学科があり、校舎から少し離れたところに看護棟がありました。
普段過ごしている校舎も古かったですが、それよりも更に古い見た目の看護棟は暗いところで見ると少し不気味です。
看護棟にはいくつか噂がありました。夜になると看護学生の霊が出るとか、夕方になるとすすり泣きが聞こえるとか、まあよくある類のものです。私の所属している部活の部室は看護棟にあったので、それらの噂は噂でしかないことを知っていましたが、やはり気持ちの良いものではありません。暗くなると部員は足早に帰っていきました。
ある日、友人と二人で遅くまで部室に残っていたことがありました。冬だったので日は短く、すっかり暗くなっていました。部室を出ると、看護棟の廊下は薄暗いぼんやりとした蛍光灯と非常口マークの緑色に照らされています。こんなに暗かったっけ?と思いながら廊下を進むと、部室の方からバタンと何かが倒れるような音がしました。部室には誰も残っていないはずです。施錠もしたし、確認もしました。音のした方には私達の部室しかありません。きっと、何かが落ちてしまったに違いないです。
帰ろうか、と友人と顔を見合わせた瞬間、鋭い悲鳴のような声があたり一面に響きました。全身に鳥肌が立ちます。青ざめた私達は一目散に出口へと駆け出しました。
看護棟を出ると、先程の悲鳴は嘘だったかのように静まり返っています。怖くて後ろを確認することもできませんでした。私達は半泣きになりながらそのまま家に帰りました。
次の日、部員を何人か連れて明るいうちに部室を点検しました。何かが落ちた様子もなく、いつも通りの部室だったのが逆に不気味で怖かったです。
あの声は一体何だったのでしょうか?あれ以来部室に遅くまで残ることはしなかったのであの声を聞くことはありませんでしたが、今でもあの時のことを思い出すと全身に鳥肌が立ちます。
一体何があったのでしょう?