ヨダソウが呼んだもの
投稿者:御春 (1)
友人から聞いた話です。少しだけ私も関わっています。
実話に違いないのでオチも浅いのでご注意を。
まず話すべきは高校時代についてです、
私の通っていた高校は偏差値40程度の簡単に入れる場所でした。
故に所謂、ヤンキーと呼べる生徒がちらほら見れました。
私は高校の頃、大人しいタイプでひっそり本を読んでいるような生徒でした。
似たタイプの生徒と集まって静かに過ごしていました。
そのためそういった人達と関わる事は極力少なかったのですが…。
高校一年生の秋頃、研修と言う名目の泊りがけの授業がありました。
主に元卒業生のありがたいお話を聞いたり、歴史博物館へ行きレポートを提出と、とても面白いと思えるものではありませんでした。
しかし泊まりがけとなると、普段放課後すぐ帰る私にとっては仲良くなり始めた同級生との親睦を深める良い機会でした。
部屋割りは一部屋4人で決められ、特に仲良くしていた友人Aと、友人Aと中学からの中である友人B、そしてクラスメイトですが普段話したことのなかった友人Cが同室でした。
正直三人とも部屋では各々禁止されていたスマホを当然の様に持ってきていたものですから、自由時間は黙り込んで過ごしていました。
そして暫くして、騒がしい声と共に部屋の扉がノックされました。
ヤ1「おうオタク共!ちょっと集まれ集まれ!」
学校内でも特に面倒なヤンキー生徒の一人(上記よりヤンキー1、又はヤ1とする)が別段同室でもない仲良し二人のヤンキー(ヤ2、ヤ3とする)を連れてずけずけと部屋に入ってきた。
先生が見回りするずっと前の時間だったので誰も止めることなく部屋に入られた。正直嫌な予感しかしなかった。
無茶振りのモノマネ大会とか、酒なんかを薦められたりしたらどうしようなんて思ってた。
しかしヤ1君は創造と全く違い事を言い出した。
ヤ1「今からさ、先輩から聞いたヤバイ儀式しようぜ。怖ぇやつ」
露骨に嫌そうな反応をするBやC、対して全く物怖じしないA。そして面倒だと嫌がる私が居た。
この頃、オカルト話をよくネットで漁っていた私はこういった又聞きの危ない儀式ほど何かまずいものを引き寄せてしまうのだと知っていた。だからこそ嫌だったが、私たち全員は断る事はしなかった。殴られるよりマシだからだ。
ヤ2「よし、じゃあお前ら全員円になれ~。説明すっから」
そう仕切り始めながら儀式とやらが始まろうとしていた。
ヤ1が電気を消し、そいつのスマホ1台だけが縁となった私達の真ん中で蝋燭替わりのように光っていた。そして説明が始まった。
ヤ2「まずこの儀式は、”ヨダソウ”って儀式で…マジでヤバイ儀式だから真面目にやれよ」
…正直こういった話では何か少し手間が必要であり、それを読んでいる方々にも事細かに話す必要があると思われる。
しかし彼らの持ってきた儀式は、一人が祈り終えたら円になった全員で目を閉じ「ヨダソウ」と言う事。だけだという。
そのあと何が起こるのかは分からないが、先輩がこれを間違えて死にかけたとか、ヤンキーの中で度胸試しになっているとか言っていた。聞けば聞くほど胡散臭い。
しかしやる気満々のヤンキー達に先導され、儀式が始まった。
ヤンキー1が祈り的なのをボソボソ言い終えてから、全員で目を閉じ
「「「「「「「ヨダソウ」」」」」」」
と声を張った。
正直、キャッキャと廊下で女子がはしゃいだりしているのが聞こえて怖い雰囲気も何もなかったがスマホのライト便りだった真っ暗な部屋で沈黙が続いた。1分くらい経過して、ヤンキー1がスマホのライトを付けて、全員に目を開けるよう指示した。
何とヤ3君が倒れていたのだ。全く音を立てず静かに横に眠るように。
何を考えているのか、と思うくらいの狸寝入りに見えたが慌てた様子で他ヤンキーが起こすのを4人で見ていた。どうやらヤ3君がうっかり目を開けそうになってしまったところ意識がなくなったとの事。顔色は別に悪くないが、表情は曇っていた。…どこか演技っぽく。
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