私の名前は?
投稿者:小鹿ルルー (1)
私にはとても大切にしていた人形がいました。西洋人形で髪の色は艶のある深みのある茶色。タイニーと呼んでいました。
小学校に入るまでお友達がいなかったので、いつもタイニーと遊んでいました。本当の親友のように。
数か月後から仲良くなった友達と遊ぶのが日課になりました。
いつの間にか、お人形やおもちゃはお片付け用の段ボール箱の中に入れたまま押し入れに収納してしまい、タイニーのことも忘れていってしまいました。
それから長く年月が経ち中学生になりました。
ある日、電話で幼稚園に通う前はどんな遊びをしていたか。という話題になりました。
その時ふといつも遊んでいた人形の存在を思い出しました。
「よく人形とおままごとをしてたよ」と笑いながら、その後も会話を楽しみました。
通話後、懐かしいな。と思いながら押し入れを開け久々にもう何年も覗いていない箱を開けてみました。
そこには見覚えのある人形とおままごとがありました。
手入れをしていなかったのはもちろんなのですが、日焼けもするはずがないのに艶は消え、枯れ葉のように肌の色も変色していました。
少し不思議に思ったものの「何年も昔のことだったから仕方ないよね」と楽観的に考えていました。
すると、着信音が聴こえました。名前は先ほどまで話していた友人でした。話忘れたことでもあったのかな?と通話に出ました。
するとノイズ混じりで、「ねえ、私の名前覚えてる?」と幼い声が繰り返されるのです。
すぐにこれ友達の声ではないと気づきました。混乱している間ずっと同じ言葉が繰り返されるのです。
すると押し入れからバサッと音がして振り向くとタイニーの髪の毛が散らばっていたのです。
思考が止まりかけると共に「…タイニー」と呟くと頭が痛くなるほどのノイズが入りました。
私は意識を失っていたようで、朦朧としながら横になっていると「やっと思い出してくれた」と聞こえ、ハッと目を覚ましました。
すると私の腕はタイニーを抱きしめていました。「またずっと一緒にいようね。」と話すと辺りが暗くなりました。そう。まるで箱の中にいるように。
大切になすって下さい。
人形に魂が宿ってしまいましたね。
怖っ。