中古車買ったら彼女と別れることになった
投稿者:A (4)
「でさ、俺ほんとに何も心当たりなくて……、聞いてるか?」
俺は唯一相談できそうなAに彼女との喧嘩の理由を話していたんだけど、Aは駐車場に入って少し進んだところで急にピタッと止まって正面を見たままフリーズした。
「A?」
「あ、いや、ごめん。何かすげーの見たから」
「すげーの?」
「あそこの車あるじゃん、軽。助手席で血だらけの女座っててマジびびった」
半笑いで話すAが指をさした先には俺の車があった。
思わず無言になってしまったが、振り絞るように「あの車?」と念のために確認するが、Aは「そう、それ」と再び歩き出して俺の車の中を覗き込む。
ただ、俺の車を覗き込むと「あれ?」と不思議そうに首を傾げ、フロントからそのまま助手席側、そして後部を大胆に覗き込んだ。
「あれ?誰もいねえ」
Aは目を擦る仕草を交えつつ俺の車を一周するように車内を確認していた。
「……これ俺の車なんだけど」
いたたまれずに白状すると、Aは「え?マジ?」とちょっと吃驚してたが、すぐに「悪い悪い、気のせいだったわ」と笑ってごまかしてた。
かなり引き攣ってたが。
しかも、ご飯に向かう時は助手席に乗らずに後部座席に乗ってた。
その一件のせいかお陰か、その晩俺は課題を手にしながら愛車が曰く付きなのではと思い到った。
そういえば購入した際に担当者が前の使用者が単独事故を起こしてその使用者が修理をしてから売却したと聞いている。
購入時は気に入らなければすぐに売るから話半分に聞き流していたが、髪の毛、C子が見た助手席の女、Aが見た女と、何れも幽霊としか思えない。
あー、しくったな。
完全に買い物に失敗したと思った。
幸い中古車だからまだ総額は安くついた方だが、初めて高額の買い物をした結果がこれかと思うとかなり気が滅入った。
そのお陰で彼女とも険悪になるし、最低な買い物だ。
よし、売ろう。
思い立ったが吉日。
俺は不幸のもとの車を手放すことに決めた。
この際、数十万で買ったこの車が数万で売れても問題ない。
それに納車してまだ一カ月ちょっとしか乗ってないから半額くらいで売れるかもしれない。
そんな世間知らずな浅い考えで、世話になった担当者に電話で相談する事にしたのだが、実際手放すと決めた途端後ろ髪を引かれる。
ぶっちゃけ俺自身はC子やAが言う女を見ていないし、何より普通に快適な車だから惜しいのは当然だった。
それでも彼女と別れるといった最悪の事態だけは嫌だったから、売ろうと覚悟を決めた。
車を無事に手放して新たな彼女を見つけてください。
事故車専門のショップがあるのを思い出した。今もあるのかな
私も以前買った中古のオデッセイ、ハンドルは変わってるし、天井には怪しい茶色いというか濃いシミがあった。エアバッグ出した事故やったあとで、天井のシミは血液?と思ってゾッとしました。特に事故は無かったけど…