父が大学生の時に体験した話になります。
当時、父は軽音楽サークルに所属しており、ある夏にサークルの合宿で九州の山奥にある古い合宿施設を利用した時のことです。
参加人数は父を入れて20人そこそこ。
昼間はグループごとに練習し、夜は1つの部屋に集まって遊んだり、お酒を飲んだりして過ごしていました。
とはいえ、部屋は基本2人につき1部屋の割り当てがあり、ある程度遅い時間になったら、段々と解散し、みんな自分たちの部屋に戻って過ごすような感じでした。
そんな日々を過ごしながら合宿最終日の夜を迎えました。
その日も、同じようにみんなで1つの部屋に集まり、楽しい時間を過ごし、段々と部屋に戻っていきました。
父も同じ部屋の仲間と自分たちの部屋に戻り、寝る支度をしていた時のことです。
部屋のノックがなり、開けると廊下にサークルメンバーのA君が立っていました。
「俺の部屋の隣のB君の部屋から話し声がする」
B君はサークルメンバーの1人ですが、みんなで騒ぐようなタイプではなく、今回の合宿でも練習が終わるとすぐに自分の部屋に戻り、翌日また顔を合わせるような人でした。
そして、B君の部屋は人数の関係でB君1人で1つの部屋を割り当てられていました。
「誰か友達呼んで、話してるんじゃないか?」
「いや、ちょっと前にトイレでB君の部屋の前通ったとき、部屋のドア少し空いてたから何気なく覗いたんだけど、1人だったよ」
そんな話をしていると、他のサークルメンバーも集まってきて、みんなでB君の部屋を見に行こうという流れになりました。
「これでB君が女連れ込んでてたらウケるよなw」
「B君だぞ?ありえないだろw」
そんな他愛もない話をしながら、B君の部屋の前まで来ました。
確かに部屋の中からB君と、もう1つB君以外の声とで楽しそうな話し声がします。
ドアノブを音がしないようにそっとひねると鍵がかかっているようで、開けられませんでした。
そこで誰かが言いました。
「鍵穴から中覗けるんじゃないか?」
その合宿施設は古い建物ということもあり、各部屋のドアも鍵を差し込んで開けるタイプのドアでした。
鍵穴も今のものと比べるとかなり大きめで、鍵穴を覗けば部屋の中が見えてしまうようなプライバシーもへったくれもない作りでした。
話し合いの結果、サークルメンバーのリーダー格のC君がB君の部屋を覗くことになりました。
この時、父はなぜか一瞬嫌な予感がしたそうですが、C君はもう鍵穴に顔を近づけ覗こうとしてます。
そしてC君が覗いた瞬間、B君の部屋の中から
「誰だぁ!!」
とB君とB君と話してた声とで同時に怒鳴り声が聞こえてきました。
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