何かを訴えかけるTシャツのプリント
投稿者:がんつ (1)
現在も住んでいるところですが、私が今いる部屋の隣の部屋で小学4年生の時に金縛りにあったことがあったんです。
今となっては昔のことなので、記憶も曖昧でもしかしたら夢だったのかもしれないと思う時もあります。ですが、何度考えても鮮明に思い出すあの表情が忘れられません。これは、実際に体験したお話です。
小学校4年生のころ、私にはまだ自分の部屋がなく父と同じ部屋で寝ていました。季節は冬で、その日は二人で小さなこたつに入って隣同士で寝ていました。
時間はおそらく深夜を回った頃です。普段は絶対に目を覚まさない時間なのに、その日はなぜか目が覚めぼやっとした視界の中、となりに父親が寝ていることを確認し、現在の時刻を確認しようと時計を見ようとした時です。
父の持っている恐らく古い外国の著名人(ルソーのような)がプリントアウトされたTシャツがふと目に入りました。寝ぼけていたためか、その瞬間にすべてを理解することはできませんでしたが、よくよく目を凝らしているとそのルソーのような顔がものすごい形相で何かを話しているのです。
今思えば不思議で仕方がないのですが、私はTシャツにプリントアウトされているだけの顔が何かをしゃべっていることには一切の疑問を抱かず、何を訴えているのかを知ろうとしていました。私の目にはルソーは誰かに話しかけているように見え、ルソーの向いている方向に目を向けると缶バッチを大きくしたようなものが壁上に立てかけられているのが見えました。その物体には親子が描かれていて、その親がルソーに向かって何かを話しながら子供を守るような立ち位置で言い合いをしていました。
私はその時にやっと状況が理解できました。しかしながら、ルソーが怒っている理由が分かりません。ルソーが怒っている理由が知りたいと思いもう一度ルソーの方に顔を向けると、、、
ルソーは私に向かって話しかけていました。それも物凄い形相で、その瞬間に自分が如何に意味の分からない状況にいるかをようやく理解しました。理解した瞬間に私に体や目は一切の自由を失いルソーの顔をただただ怯えながら見ることしかできません。ルソーの顔は段々と近づいてくるように感じました。私は怯えながらなんとか父に訴えかけようと声を出そうとしますが声が出ません。当然身体の自由も効きません。恐怖のあまり冷や汗が止まらず、足元で感じるこたつの温もりも温かいを超えて熱く感じてきました。
物凄い形相で怒るルソーの顔を見ながら、ようやく身体の自由を取り戻した私は隣にいる父に抱きつきそのまま気を失いました。
翌日になると、ルソーがプリントされたTシャツは残ったままで親子が描かれていた缶バッチを大きくしたようなものだけがどこかへ行っていました。
父に聞いてもそんなものは持っていないといわれました。あれはいったいなんだったのでしょうか。そして、あの親子はいったい何をしてしまったのでしょうか。
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