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心霊

TOHAさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ベテラン看護師の奇妙な行動
短編 2022/06/08 15:08 1,340view
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かつて、主人の子供の頃にいた病院は茨城県の水戸市にありました。
昭和30年代初期に建てられた木造建築で暖房器具が充実していなくて、冬は隙間風や水道が凍ることで寒さがとても応える施設でした。
歴史を遡ると、第2次世界大戦時に飛行場だった土地で、爆撃が結構あったところのようです。
広大な国有地だったので当時の行政の方達や医師達の働きかけで、できたリハビリ設備が付いた大きな病院でした。

主人は昭和50年代に入院したのですが、すでに木造建築が古くなっていて、独特の暗い雰囲気を醸し出している状態でした。
そこでの生活は、病院なので就寝時間が早く午後8時30分には、消灯時間になり廊下も常夜灯だけになります。
トイレが1棟に1ヵ所にしかないため、部屋の場所によっては30mほど移動しないといけなくて夜中に廊下に出るとそれはそれは暗くて怖い場所になります。
夜勤の看護師さんが3名いるのですが、時間にならないと見回りが来ないので布団の中であまり遅くまで起きていると、突然表れる白衣の姿にびっくりしていたのです。

そんな雰囲気ですから、もう早く寝てしまおうと主人は布団に潜っていました。

看護師さんの中にはベテランの方もたくさんいて、厳しい看護師さんも中にはいました。
その人が夜勤の時はあまり騒がず静かにしているのですが、ある朝、早く各部屋を訪れ紙片を持って棚に貼り付けに来ました。
主人は意味が分からず貼られた紙を見ていたのですが、何やら漢字で書かれていること以外意味不明でした。
後で別の看護師さんが教えてくれたのですが、夜中に誰もいない廊下に足音だけが聞こえて来たということです。

これは何かの霊が出たのだと思ったベテラン看護師さんが、お経を書いて部屋に貼って回ったそうです。
確かに昔から霊が出ると噂の高かった施設ですが、看護師さんがそういう行動をするとは思いませんでした。
主人自体は霊感が全くないので、出たと言われる幽霊より、夜中足音もなく見回りに来る看護師さんのほうがよっぽど怖かったと言っています。

今は病院の建物は全部壊され、空き地になってしまいましたが、数年に1度、跡地近くを通ると、今でも幽霊が出るのだろうかと当時を懐かしんでいます。

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