それは社会人になってまだ間もない頃の話。
当時働いていたデザイン事務所は昔「首切り場」があった地域で、
同業者の間では心霊現象が度々起こるとの噂が広まっていた。
事務所はそんな場所にあるマンション8階のワンフロア。
室内にはエレベーターを降りて踊り場を挟み、
磨りガラスの窓が付いた玄関ドアを開けて入る。
私のデスクは玄関を開けて一直線に進んだ突き当たりの壁を向いて置かれていた。
その日は残業で一人会社に残っており、すでに深夜の2時を回っていた。
この業界ではよくあることだ。
一人黙々と作業を進めていると、
ふと背後から音が聞こえた。
『ガシャン ガシャン』
振り返ると玄関の磨りガラス越しに、
エレベーターのドアが開いたり閉まったりしているのが見えた。
こんな時間に来客があるとは思えない。
『ガシャン ガシャン』
『ガシャン ガシャン』
エレベーターのドアはずっと開いたり閉まったりを繰り返している。
『ガシャン ガシャン』
作業を中断して様子を見に行こうと立ち上がり、
玄関のドアを開けるとエレベーターのドアはスッ と閉まり動かなくなった。
念の為「開く」ボタンを開けて中を確認してみたが誰もおらず、
ドアの間に何か物が挟まっているわけでもなかった。
その時は特に気にせず席に戻り作業を再開したが、
後から思えばあれは心霊現象だったのかもしれないと…
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