黒装束と「おかえり」の声
投稿者:柿 (2)
ある夜、水を飲んでから寝ようかと布団に足を入れたときの話。
まだ寝ていない、家に誰もいないのに突然沢山の気配を感じた。立ち上がろうとしたがからだが動かない。
まわりを囲まれる気配がした。
覆面の忍者装束のような人々が周囲を囲っていた。
なるほど、寝た記憶はないがこれは夢かと思った。
水を飲んだところから寝落ちしたのだろうと思った。
じわじわと黒装束が近寄ってくる。
体は動かず、冷や汗と動悸がする。
黒装束がすぐ近くに来て殺されると思った瞬間に消えた。
やはり夢だったかと安心して水をまた台所に飲みに行った。
前に飲んだコップはまだ残っている。
水滴がついているし雑に置いたままだ。
中途半端に水を飲んでコップに水が残ったままその場を離れた。
夢だと思っていても怖いので部屋のなかを見回して顔を洗い、家中を点検した。
鍵はしまっている、家に誰もいない、家のコップは片付けてない。
よし寝ようと足をついて布団をまくる。
この状態なのでこのときはまだ絶対寝ていない。
急に冷や汗と動悸がする。
血の気が引く。
優しいようなゾッとするような声で響くように
「おかえりおかえりおかえりおかえりおかえりおかえりおかえり」とささやく声が聞こえる。
おかえりとひたすらに声がする。
誰もいないのにおかえりと声が聞こえる。
本能的にしゃべってはいけないと感じてそろりそろりと目線を動かしてきょろきょろしても誰もいないし戸が開いた音もしない。
布団をまくる肉体に金縛りがおこる。
また黒装束が近寄ってくる。
家族が帰ってくる音がした。
おかえりの声が止み、動けるようになった。
怖くなりばっと家族のもとへいこうとする。
部屋のドアを開けて見るとコップの水がなくなっている。
家族はまだ玄関、誰が飲んだのだろうか。
また黒装束とおかえりの声はなんだったのだろうか。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。