我が家に出た女の話
投稿者:風吹けば名無し (2)
短編
2021/01/10
01:30
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ちょうど一年前くらいのお話。
深夜金縛りに遭って目が覚めた。それだけなら何度か経験はあったが、問題は前髪の長い誰かが私の顔を覗き込んでて、尚且つそれの両手であろう冷たい何かに両肩を掴まれ揺すられていた事で。
今までこんなことは無かった物だから、なんとか逃げ出すべくひたすらに体に力を込めること数分(多分)。
指先がほんの少し動いた途端一気に金縛りが解けて、その後は電気を着けてロフトベッドを飛び降りソファで気を落ち着けていた。
その間、肩に触れた冷たい感覚は単に部屋が冷えてたから、とか顔に垂れた髪は自分の前髪が目に掛かっただけ、とか色々と理由付けして行く内に恐怖も薄れ、朝仕事の準備をする母親に一言、「昨日久々に金縛りに遭うたわ」なんて軽く話せる程度には気分も軽くなっていた。
で、それから二ヶ月後くらいかな、これまた深夜なんだけど。その日は週末だったから夜更かししてゲームしてた時、母親の部屋からうめき声がする。
ずいぶん魘されているな、と思いつつ、やや早めにゲームを止めて様子を覗きに行った。別に部屋が荒らされてるとか息してないとかも無くて、そのまま自室に戻って寝て。
翌朝それとなく聞いてみたのよ、昨日ずいぶん魘されてたよって。そしたらさ、
「髪の長い女が私の首絞めてきたんだよ」
って。
あれ、ホントに私の幻覚なのかな。
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