肝試しで消えたA君
投稿者:考える葦 (1)
これは私が大学時代にサークル合宿で聞いたお話です。場所は福井県の山中の民宿でした。そこの民宿亭主に聞きました。
ある高校の野球部の合宿でもそこの民家が使われていたことがあったそうです。
合宿中のある夜、部員総出で夜中に肝試しをしていたそうです。
肝試しは無事に終わって民宿に戻っていたのですが、部員の一人であるA君の姿がありませんでした。部員全員が民宿内のお手洗いやお風呂場等の至るところまで探したのですが、見当たりませんでした。なので、肝試しの時にはぐれたと判断して、部員総出でA君を探しに行きました。
肝試しの現場についてA君を探していましたが一向に見つかりません。しばらくすると、大雨が降り風が吹いて視界が悪くなりました。A君の捜査が難航するどころか自分たちの帰り道の方向さえも分からなくなってきました。そんな時、ふと前の前を見るとなんとA君が立っていたのです。しかし、A君は元気がなさそうで、何も言わずにこっちへ来いと幾度となく振り返って手招きしながらみんなの前を歩いていきました。部員たちは何度よびかけてもA君は反応しないので、諦めて指図されるがままにA君についていきました。
そして、行きついたところはなんと民宿でした。
みんなは無事に帰ることができたので、バンザイ状態でした。しかし、皆が気づいた時にはA君の姿はありませんでした。
そして、翌日に彼らが遭難した近くにA君死体が発見されました。A君は肝試しの途中に足を滑らせて崖になっている部分から落ち、頭を打って亡くなっていたのです。
A君は仲間を思い最後にみんなの案内をしてくれたのかもしれません。
東尋坊ではないよね?