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心霊

川辺に咲くさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

視線
短編 2026/11/02 22:48 51view

最近、よく目が合うんです。
ふと目を上げると、こちらを見ている。
最初は「気のせいかな?」とか、「私、どこかおかしなところでもあるのかしら?」と思いました。
偶然にしてはよく目が合うので、「もしかして、私のことが気になっているのかな……」
なんて考えてしまったことも。

最初にその視線に気づいたのは、職場からほど近い、幹線道路沿いのカフェでした。
コーヒーを注文し、窓際の席でぼんやりと外を眺めていると、片側三車線の道路を挟んだ向こう側から、こちらを見ていました。
思わず私もしばらく見つめ返してしまいましたが、距離もあったので、「別の何かを見ているのかもしれない」と思い、そのときは特に気にしませんでした。

次に見かけたのは、勤め先の入っているオフィスビルの中でした。
会議室に行くためにエレベーターで階下へ降りると、フロアの端の方からこちらを見ていました。

「あれ……? このビルにも出入りしていたんだ……」
まあ、大きなビルなので、そういう偶然もあるかと思い、「あのあたりには、どんな会社が入っているんだっけ?」などと考えながら、目的の会議室へ向かいました。

またあるときは、仕事帰りの駅のホームでした。
上りホームの列の先頭に立ち、ふと顔を上げると、向かいの下りホームから、じっとこちらを見つめていました。
「アレ……」
思わず目をそらしましたが、会社の最寄り駅だし、見かけることくらいあるだろうと思い直し、再び顔を上げた瞬間、向かいのホームに下り電車が滑り込み、視界が遮られました。
でも、不思議なことに、こちらを見つめるその視線だけは、浮き上がっているかのようにはっきりと目に焼きつき、背筋が冷えるような感覚を覚えました。

その視線が偶然ではないと確信したのは、週に一度通っている英会話教室でのことでした。
小学校の教室ほどの広さの部屋で、窓際の一番前の席に座り、後ろの席にいる知人と雑談をしていました。
何気なく廊下側に目をやると、後ろのドアにある小窓から、こちらを見つめていました。

「アレだ……。会社の近くでもないのに、どうして……?」
そのとき、初めて気がつきました。
偶然じゃない。
私を見ているんだ。

それからも、ふとした瞬間に『アレ』の視線を捉えてしまいます。
マンションの駐輪場の奥の暗がりから。
オフィスのデスク横にある窓にへばりつくように。
給湯室の排気口の内側から。
目が合うたびに、少しずつ、少しずつ。
『アレ』との距離が近くなってきています。

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