拓也(たくや)は、半月前に亡くなった母の遺品を整理していました。
母は女手一つで彼を育て上げ、いつも穏やかな笑顔を絶やさない人でした。
押し入れの奥から、古びた一冊のアルバムが見つかりました。
表紙には、母の丁寧な文字でこう書かれていました。
「拓也の成長記録」
拓也は懐かしさに胸を熱くしながら、ページをめくりました。
アルバムには、拓也の幼少期の写真がびっしりと貼られていました。
よちよち歩きをする姿、
公園の砂場で遊ぶ姿、
小学校の入学式。
どの写真の裏にも、母の愛情に満ちたコメントが添えられています。
「1歳。初めて歩いた日。転んでも泣かなかったね」
「7歳。入学おめでとう。ランドセルがまだ大きく見えるよ」
拓也は涙を浮かべながら、10歳、15歳とページをめくっていきました。
しかし、あるページを開いたとき、指がピタリと止まりました。
18歳の時の、大学の合格発表を見に行った写真でした。
掲示板の前で、拓也が自分の受験番号を見つけて飛び跳ねて喜んでいます。
その写真の裏には、こう書かれていました。
「18歳。合格おめでとう。自分のことのように嬉しかった」
拓也の背中に、冷たいものが走りました。確かに彼は大学に合格しました。
しかし、合格発表の日、母は体調を崩して寝込んでいたため、
拓也は一人で発表を見に行ったはずでした。いったい、誰がこの写真を撮ったのでしょうか。
拓也は慌てて前のページへと戻りました。
よく見ると、どの写真も少し遠くから、
物陰や木の後ろから盗撮したようなアングルばかりでした。
高校の部活の帰り道、友人と笑いながら歩く写真。
中学生の時、自室の机で居眠りをしている写真。
























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