初恋の男の子はガリガリに痩せていた。じゃがいもの芽が主食だったらしい。それしか食べられないんだ、と彼はいつも給食はひとりだけ持参したお弁当を食べていた。
中学生のとき、密かに思いを寄せていた先輩は、タバコの煙が主食だった。どこか影が薄い彼は、風が強い日には決して姿を見せなかった。大型の台風が直撃した日を境に、先輩は学校へ来なくなってしまった。
高校生。勇気を出して告白した男子に、僕は生物毒しか愛せないんだとフラれてしまった。いつも彼は水筒によく分からない魚やタコを入れてきて、がぶがぶ飲んでいた。
大学生になった。
初めてできた彼氏は、人間の悪意でしかお腹を満たせないと言っていた。 「炎上案件に張り付いてるだけで食費浮くんだぜ。お前もどう?」
彼は手にしたスマホを見つめたまま言った。その顔は毒々しい笑顔に歪んでいた。
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