トイレの前に…

ついこの間体験した話です。

都内某所のファミレスに行った時に、急にお手洗いに行きたくなりました。
お手洗いはレジの裏手側から伸びた通路の先にあります。

お手洗いを済ませて出て、思わず固まってしまいました。
どうしてトイレの前にこんなに人が？と驚くくらい、たくさんの人が立っていたのです。
それも皆、同じような顔、同じような髪型の女性ばかりです。
ちなみにトイレ内には個室が4つありましたが、私以外に使用している人はいなかったので順番待ちというわけでもなさそうです。
皆、整列しているわけでもなく見ている方向もバラバラで、なんだか満員電車の中みたいでした。

私は「すみません、通してください」と言って通ろうとしましたが、私の声が届いていないのか誰も反応しません。

かといって無理矢理入り込める隙間もありません。
一体この人達はなんなんだ？どうしたらいいんだ？軽くパニックになってしまい、その場にしゃがみ込んだその時。

「もう大丈夫。大丈夫ですよ」

上品なマダムに背中をさすられました。
はっとして顔を上げると先程の女性達は誰一人としていません。
狐につままれたような気持ちになり唖然としていると、マダムが言いました。
「個人的に何度もお祓いに来ているのだけれど、いなくならないのよね。一時的にどいてもらうことはできるのだけれど」

マダムは多くを語ることはしませんでしたが、私はそういったものにあてられやすい体質らしく、もうこのファミレスには来ないほうがいいかもしれないと告げられました。

あれ以来、そのファミレスには行っていません。