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不思議体験

新田義貞さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

私のトラウマ
短編 2025/07/15 00:36 1,270view
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きっかけは小学校低学年の頃でした。当時私には特に仲の良い4人の友人(仮にa.b.c.dとします)がいて、よく5人で遊んでいたことを今でも覚えています。鬼ごっこをしたりお互いの家に泊まりお菓子を食べたり、河川敷でHな本を探したりいつも一緒に遊んでいました。しかし小2の終わり頃aが親の仕事の事情で他県の小学校に転校することになりました。今思えば親に頼めば連絡は取れるのですが当時の自分にとっては今生の別れのように思えました。b.c.dと私の4人で口々に「忘れないから。」と大泣きしながら別れを告げ、aもまた泣きながら「一生の友達だ。」と言い転校していきました。それからしばらく4人で遊んでいましたが、喪失感がずっとありました。話は変わるのですが私の小学校は2年ごとにクラス替えがあり3、4年生では3人とはクラスが別れてしまいました。5、6年生でまた同じクラスになるまで話すことは無かったと思います。クラスがまた同じになり、4人でまた遊ぶようになりました。しかしこの時から何かがおかしくなっていたんだと思います。3人ともaを覚えていないのです。3人にaの話をしても口を揃えて「aって誰?」と聞いてくるのです。忘れてしまったのでしょうかただ妙なことに私の親までもaの存在を覚えていなかったのです。そんなはずはない昔に泊まりに来たはずだと食い下がると「あんた何言ってるの?泊まりに来てたのはb君、c君、d君の4人じゃない。くだらないこと言ってないで宿題しなさい。」とあしらわれてしまいaの話はしないようになりました。子供の頃の記憶は忘れやすいもので2年たち中学校に入学する頃にはすっかりaのことなど忘れてしまっていたのです。

中学校にも慣れてきたある日学校から疲れ果てて帰ってきてベットに転がり込みながらスマホでYoutubeを流して寝てしまいました。それからどれほどの時間が経ったでしょうか?わたしは目を覚ましましたが体が動きません。いわゆる金縛りというやつです。そんな状態でもYoutubeの音ははっきり聞こえ、「あーい、先生です」「ほい、生徒です」という今でも時々みるお気に入りのホラー系Youtubeチャンネルのどこか気の抜けた挨拶が聞こえてきました。どうにかして動画をみれないことかと唯一動いた目だけを動かしてあっちこっちをみていた時ふと、部屋のドアが目に入りました。一度目に入ってしまってからもう目が離せなくなりました。なぜなら少しずつドアが空いてたからです。わたしは直感で見てはいけないものがドアの奥にいると思い、目を離そうとしましたが意思と反して目も動かなくなりました。それでも無情にドアは開いていきついに見てはいけないそれが見えてしまいました。それは身長190は超えてそうな人間の形をしたナニカで身長のせいで胸あたりまでしか見えませんでした。しかしそれだけでもそのナニカが人ではないと判断するには十分でした。左右で長さが違い異常にグニャグニャしている腕、変な方向に曲がっている膝関節、尖るように出っ張ている腰周りなどまるで歩行者専用道路の道路標識みたいでした。それはわたしに少し近づいたあとおもむろにしゃがみ出しました。不自然に広い肩幅、顔とほとんど境目の区別がつかない首、そして顔はaの顔をしていました。その顔を見てaのことを完全に思い出しましたが同時に違和感を覚えました。顔が大きさ全く変わってないのです。先ほど書いた体つきに小学生の顔その要素だけで恐怖を感じるのは十分でした。もうやめてくれ、私はそう念じていましたが無情にもaのようナニカは顔を近づけてきました。そしてa?はやはりあの頃から変わらない高い声で言葉を発しました。「忘れないって言ったのに。嘘つき。嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。」嘘つきと繰り返し呟きながら右手をわたしに伸ばしてわたしのおでこに触れました。その瞬間わたしの意識はまた闇に沈みました。

目を覚まし、全ては夢だったのだと安心して顔を洗いに行った時鏡に写った自分の顔のおでこには爪で引っ掻いたような傷ができていました。

これが3年前に起こった私のトラウマです。あのaの顔をしたナニカは幽霊だったのでしょうか?それとも夢でしょうか?夢だとしたらいまだに消えないわたしのおでこの傷はなんなのでしょうか。私にはわかりませんがそれからわたしは道路標識を見ることができません。

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