一本道
投稿者:たち (8)
これは友人から聞いたお話です。
自然災害が多い昨今、友人の地域も被害に遭い、多くの方が犠牲になり、街並みも大きく変わり、住民の生活も一変しました。
友人の父親はタクシー運転手をしており、
災害時も仕事をしていました。
幸いなことに商売道具である車も自分の命も無事でした。
しかし、街の風景は一変家屋は倒れ、車はそこらじゅうに横たわり、とても悲惨な状況でした。
しかし、数日、数週間と月日が経つにつれ瓦礫は撤去され、なんとか車が走れるようになりました。
友人の父親も
「みんなのために少しでも役立てば」
という思いからタクシー運転手を再開することにしました。
数日後、帰路についていた夕暮れ時のことです。
車2台がすれ違うのがギリギリの一本道を通っていた時、
「今日はやけに歩行者が多いな」
と友人の父親は感じていました。
道路脇にはまだ瓦礫の山があり、歩行者は道路の隅を歩いていたそうです。
対向車が来た時は、ブレーキを踏み、歩行者を避けながらゆっくりと走っていました。
しばらくすると大きな道に出て歩行者もいなくなったので安心していると、突然、後ろからパトカーが呼び止めてきました。
「なんだ?職質か?」
と思ったそうです。
「どうしました?」
と友人の父親、
「運転手さん、すいませんが飲酒運転されてませんよね?」
と警察官、
「してませんよ!こんな時に飲酒しながら運転するわけないじゃないですか!それに私はタクシー運転手ですよ?そんなこと絶対にしません!」
と強い口調で警察官に言ったそうです。
「そうですよね…」
と警察官、
友人の父親が
「何か気になることでも?」
と尋ねると
「いやー、私達はタクシーの数十メートル後ろを走っていたのですが、前のタクシーがやたらとブレーキを踏んだり、よろけて運転してたので、おかしいなと思い声を掛けさせて頂きました。」
友人の父親は
「あー、だってあそこの一本道の道路、歩行者が多かったので気をつけながら運転してたんですよ」
怖面白かった。他の人が見えないものが見えるって、どんな感じ?
みんなでゾロゾロどこに向かっていたのでしょう?
短くてシンプルだったけど怖い思いにはなった