曲がり角の猫鳴き
投稿者:王 風呂 (2)
「おばあちゃん、道の工事はいつ終わるの?ずっとこのくさい路地を歩くなんていやだよ。」
私はおばあちゃんの服のすそを握りしめながら小声でぐちをこぼしていた。
「可哀想になっちゃったわね。」
おばあちゃんは私の方を見て頷きながら目を細めて笑っていた。「もう少し我慢して、前の曲がり角を通り抜ければ大丈夫だ。」
最近、工事のために学校帰りには遠回りしなくてはならない。ただ単に遠回りするだけならまだしも、途中にはほとんど「廃墟」となった古い住宅地があった。
このエリアの半分以上の家は誰も住んでおらず、昼間でもここを歩くと不気味な感じがした。
路地は狭くて暗く、両側にはいつから存在していたのか分からないゴミが積み重ねられ、嫌な臭いが漂っていた。
「あっ!ネ、ネズミ!」
突然だが、道脇から黒くて大きなネズミがたくさん飛び出してきた。私は驚きすぎて頭が真っ白になった。
これらのネズミは人を全く恐れていないようで、ある1匹はまるで私とおばあちゃんの足元を駆け抜けていった。
「大丈夫、大丈夫、おばあちゃんがいるから何も怖くないわ。」とおばあちゃんは私の頭をなでなでしながら慰めた。「ネズミたちは引っ越し中かもしれないね。」
「引っ越し?なら前にもっとネズミがいるかも、おばあちゃん、どうしよう?」
おばあちゃんは前に進むことができない私の様子を見て、考え込んでから言った。「ああ、おもいついた!」
おばあちゃんは隣の木から2枚の葉っぱを摘み、頭の両側に挿しました。指を爪のように曲げて、身をかがめて笑顔で私に言った、「にゃー!大きな猫が来たよ!ほら、どう?」
猫を真似しているおばあちゃんの姿を見て、ついに笑った、「おばあちゃん、本当に上手だね!」
そういう話しを聞いて、おばあちゃんのパフォーマンスはさらに没頭していくようだった。
「にゃー!にゃー!さあ、ネズミを捕まえに行こう。どのネズミが孫娘を怖がらせるんだ?」
おばあちゃんは猫の振りをしながら声をかけ、前方の角に向かって歩いていき、左に曲がると姿が見えなくなった。
「にゃー!にゃー!ここにいるかな?」
「にゃー!にゃー!ここにいるかな?」
しばらくすると、おばあちゃんは左側から出てきたが、なぜか動かないで黙って立っているようだった。
「さすがおばあちゃん、本物の猫と同じだ!もっともっとしようよ!」
「本当?」
私の言葉を聞いて、おばあちゃんはようやく反応した。
ただし、遠くにいるせいか、路地が暗すぎるせいか、なんかおばあちゃんの顔ははっきり見えなかった。でも再び聞こえてくる「にゃー」の声で私の疑念をとめた。
おばあちゃんはまた、猫の歩みをしながら右に曲がっていった。
「にゃー!にゃー!」
こうして、おばあちゃんは曲がり角の左右で行ったり来たりし、声もどんどん尖り、音節も真似している「にゃーにゃー「ではなく、まるで猫の鳴き声ようになっていった。
「おばあちゃん、本当にあなたが声を出してるの?」
突然、おばあちゃんの声が突如として止まった。まるで古いラジオが強制的に切られたかのようだった。
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