カーテン

1
カーテンの下ってすごいひんやりしてるんです。窓に冷やされた空気が降りてくるからなんでしょうね。
ある日熱が出てしまった時があって、しかもうっかり冷えピタとか氷とか切らしてたんですよね。そこで「そうだ、カーテンの下に頭置けば多少冷えるだろ」と思ったんですよ。そこでカーテンの下に頭を置いたら、窓に張りついている女と目が合ってしまって。

2
ええ、息子がよくカーテンの下から外を見ていたのは事実です。最初は空を見るのを楽しんでいただけだったんです。あの子雲を観察するの好きでしたから。ところが夜の景色を見ようとした時からですかね。「お母さん、女の人いる」って言い出したんですね。私あわててカーテン開けてみたんですけど誰もいなくって「もう、いたずら言わないの」なんて軽く怒って。でも今思えば息子は真剣に話している顔でした。この時カーテンの下から覗くのをやめさせていれば…息子が女に向かって話しかけてしまったんです。「なんで外にいるの？」って。そしたら窓ガラスが割れて息子の目にも破片が刺さってしまって。息子は5歳にしてもう雲を楽しむことはできなくなってしまったんです。
このようなインタビューをあなたがするってことは他にも同じようなことがあったんですか？だとしたら早く色んな人に教えてください。カーテンを下から覗くなって。

3
この前夜にポチ、ああウチの柴犬ね？が急にカーテンの下から外を見始めてさ。ワンって一声大きく鳴いた瞬間窓割れたんだよね。最近強盗とか多いじゃん？もしかしたらあれはウチも襲われてたってことなんじゃないかって思ったら怖くなってさ。防犯カメラ買っちゃった。いやー確かにお金かかるけど備えあれば憂いなしと言うしね。

4
最近家に居ても視線を感じる。特に夜。きっと何かしらの霊のせいだ。私は霊を見ることはできないが霊を引き寄せてしまう体質らしい。また、霊が見えないとはいっても霊による雰囲気というかそういったものは感じてしまう。なかなか嫌なものである。幸い私には霊感の強い親友S子がいる。寺生まれでもなんでもないが田舎育ちで、都会育ちの私よりそういうのに詳しい。今回もさっそく彼女に頼んだ。
S子は私の家に入るとすぐに顔をしかめた。やはり何かいるらしい。家の中を一通り眺めた後、窓を指差して「ここだね」と言った。カーテンに嫌なモノがたくさん付いているらしい。彼女曰くそれは外にいる、そして家の中に対する執念が強いのだと。「とにかく内に入りたがっている」じゃあどうすれば良いのかと聞いたら「夜間絶対カーテンを開けなければいい」と。昼間は霊とかの力はほとんどないので気にしなくていい、とにかく夜はその窓に関わらなければいいとのことだ。外の様子が気になったら玄関から出て確かめろとも言われた。
まあ要するに解決策は無いから気にしないようにしろということだ。せっかくいい場所と思っていたのに。スーパーも近いし駅も近い。なのにまた引っ越さなければならないのだろうか？