白旗塚の呪い
投稿者:延宇京 (1)
短編
2023/02/11
03:14
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鎌倉時代の末期に、倒幕を目指して軍を率いた新田義貞が源氏の白旗を立てたとされる白旗塚が小手指には存在する。
この地は新田と鎌倉幕府軍が何度も激戦を繰り広げたことで地元では非常に有名で、中学生でも知らない人はいないだろう。
そんな白旗塚であるが、実は心霊スポットとしても非常に有名なのだ。
白旗塚に建てられている石碑は、戦死した武将や兵士たちが祀られている。
そこには「古武将の御魂祭れりこの塚を護り通せと先祖より受此の塚を壊せし者は忽ちに霊魔を受けて死するやもあり武蔵野の小手指ヶ原古戦場月の光は変わらざりけり」という文言が刻まれており、壊した者は悪霊の呪いによって殺されてしまうという。
さて、好奇心が旺盛だった小学生の私はこの噂を聞きつけるとすぐに白旗塚に向かった。
日が沈む頃だっただろうか、周囲には誰もおらず聞こえてくるのは煩わしい蝉の鳴き声のみ。
丘の頂上まで一気に駆け上がり、例の石碑を見つけた。確かに石碑は存在したものの、何も起こらない。
意気消沈した私はそこに石を投げつけ、ゆっくりと丘を下り始めた。
下りきったところで、ふと人の声が聞こえ始めた。小さいながらも怒鳴っているような逞しく太い声。
すぐに振り返り頂上に戻ると、そこには鬼の形相で私を睨む4人の武将がいたのだ。
「逃げるな」という声をよそに丘を去った私は、気付けば学校の保健室で寝ていた。
私の背中には、一つの切り傷が残っていた。
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