ベッドの下で

妹のマンションに遊びに行ったときの話です。

妹が同棲中の彼氏とコンビニで3人分のお弁当を買ってくるので、一人で留守番するように頼まれました。

仕方なく、一人でスマホをつついて暇つぶしをしていたのですが、そのときに机に立てていた妹のリップが風もない部屋で急にかたんと倒れて、転がったのです。

リップはあっという間に机から転がり落ち、妹の部屋のベッドの下に転がりこみました。

だから私はそれを取ろうとベッドの下に手を潜り込ませたのです。

なかなか見つからなくてベッドの下を探っていたら何かにぶつかりました。

それはふにゃっとした感触の何かでした。

びっくりして一回手を引っ込めたのですが、もう一度気になって探りました。

それを掴んで引き出そうとした瞬間だったと思います。

突然手首が触った何かに掴まれて、私はベッド下に引きずりこまれそうになったのです。

ものすごい力でした。私は現実離れしたことに遭遇して、とにかく足を踏ん張って手を引き戻すことで頭がいっぱいでした。

ぜーぜー言いながらなんとか手首が逃れたと思ったときに、ベッドの下から人の顔が半分出ていたのを見て、ざっと恐怖で顔が強張りました。

私は恐怖に泣き叫びながら部屋から逃げ出したと思います。

そしてマンションの階段の下で、コンビニから帰ってきていた妹と妹の彼氏を見つけ、助けを求めました。

その後、3人でベッドの下を確認したけど、そこにはなぜか何もいなかったです。

ただそこからリップが出てきただけでした。

でも私の手首にはあのときに強い力で握られたあざがしっかりできていたのです。

今も妹を見る度に、あの日のことが思い出されます。

ベッドの下には人が入り込むようなスペースはありませんでした。

きっと私は見たものは生きている人間じゃなかったと思います。