頭を打ったら変な世界に迷い込んだ
投稿者:寇 (4)
俺が小学生の頃、いつものように友達とサッカーして遊んでたんだけど、その時に変な体験をした。
車通りがほとんどないような敷地内だったんだけど、地面がアスファルト舗装の部分があって、俺がボールを蹴ろうとした時にボールの上を踏んでしまって盛大にこけたんだ。
んで、その際にバナナの皮でひっくり返るみたいに、後頭部を思い切り地面にぶつけた。
ガツーンって漫画みたいに星が飛び出そうだったけど、痛いより先に視界が真っ白になって意識が吹っ飛んでった。
それでここからが変な体験なんだけど、目が覚めたら知らない土地に居て、今さっきまで遊んでた友達が誰一人居なかったんだ。
俺としてはこけてから数十秒も経ってない感覚だったんだけど、よく見れば空が夕焼け色に染まってたから何時間も経ってる事に気付いて、慌てて帰路についた。
もしかしたら俺は気絶してたのかもしれないが、それにしても意識の無い俺を放って帰るとか、次に友達に会ったら怒ってやろうとか思ってた。
でも、知らない土地から適当に街中を歩いていると、やっぱりどこもかしこも記憶に無いような建物ばかりで、ここが俺の知らない場所だという事が分かる。
と言うより、俺が住んでた場所はそこそこ都会だったと思うんだが、今いる場所は街と言うよりは、片田舎の町と言った感じで、どの家屋も古臭く見える。
昭和チック?下町を一代古くしたような、そんな感じ。
この時はこんな場所近くにあったんだ程度にしか思ってなくて、物珍しさもあって町並みを観察しながらぶらぶらと歩いた。
どこかに交番くらいはあると思って。
だが、どうも気になる事がある。
人も車もいっさい見かけないんだ。
四方八方何処を見ても誰も居ないし、走行音とか生活音とか、そういう気配もいっさいない。
それが分かった途端、妙に不安になってきて、交番を探す足取りも自然と早くなった。
建物はあるのに人が居ないなんて事があり得るだろうか。
「おーい!だれかー!」
俺は大声で助けを求めてみたが、反応は無い。
マジで誰も居ないのだろうかと諦めかけていた所、道路の先に人影を確認した。
第一村人発見、まさに気分は最高潮だった。
さっそく声を掛けてここが何処か聞き出して、できれば家に帰る方法か交番の場所を教えてもらおう。
そう思って俺はその人影に駆け出した。
「すみませーん」
声を掛け手を上げて駆け寄っていると、何かがおかしい事に気がついた。
人影に近寄っても人影の陰りが一向に明るくならないんだ。
何て言ったらいいか、日陰に入っているかのようにその人の体がやけに暗く映っているみたいに見える。
肌の色じゃなくて、存在そのものが暗く見えるんだ。
その人物まで数メートルといった所で俺は足を止めた。
何かその人に話しかけたらいけないような気がした。
そう思った矢先、その人物は俺に向き直り、能面のような無機質な表情を浮かべて口を開く。
勿論あの世に連れて行かれるを指しているじゃないかな。
こういう話大好物だ
良い、わくわくした