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心霊

舞姫さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

禁忌の応接室
短編 2022/05/16 01:42 1,748view

若い時分、転職活動中、都内でも有数の古い建築様式の面影を残した建物で有名な会社の求人に、通勤に便利であったために応募したことがあります。
少し早めの時間に到着して面接に伺うと、中年の部長らしき男性が現れると、古風とも重厚とも言えるややロココな感じの布張りのソファー、絨毯敷きの応接室へ通していただき、しばらくそこで待つように伝えられました。

その部屋でじっと待っていると、男性が扉を閉めると間もなく天井付近から音が鳴り始めました。
パチッ、ピシッ、コトコト、パラパラパラ…。
いわゆる空中で板がきしむような音や、何か天井裏を走り回る様な、物を転がしまわる様な、物凄く慌ただしいはっきりした音が絶え間なく数十個が重なるような形で音がし始めました。
ラップ音?にしては、物凄くやかましい位の絶え間ない物音で、何か上の階で起きているようにも思えなくもありませんが、上の部屋と言うよりは天井近くの空中や部屋の隅から出ている音でした。

いくら古い建物とは言っても、あまりにも変過ぎる…。

まだ若かった私は、あまり怖くもなく、ただ呆れてぽかんと上方を見上げていました。
バタッ…。
先ほどの部長が扉を開けて入ってくるやいなや、あれほどけたたましく天井を駆け巡っていた物音は嘘のようにピタッと止み、元の静けさが戻りました。

後日、まだインターネットなどがない時代でしたので、就職情報誌をこまめに読んでいた私の目に入ってきたのは、とある読者の投稿文に\でした。
読者の怪奇体験と称されたその内容には、勤務していた会社がとても古い建物であり、特に変なことがよく起き、出るとされ避けられていた会議室兼応接室に、採用面接の際、応募者が被って訪れてしまったため、上司が通して待たせてしまったという話でした。

上司はそういったことに無頓着な人で、社内の営業を含め常勤社員達は一人でその部屋に入ることを禁忌に近いこととしていたため、おののいていたという事です。
案の定、面接を終えて出てきた女性は少し変な様子だったような気がした…と記載されており、たぶん、これワタシだわ、と。
または似たような人が他に何人かいたのかも知れません。

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関連タグ: #ラップ音#禁忌
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