添い寝
投稿者:カヨ (7)
20代前半の頃、6畳1間の木造アパートで1人暮らしをしていました。生活はいつもカツカツ。バイトで毎日クタクタ。
あの日も、バイトで疲れて帰宅したあと、早々に眠りにつきました。
壁沿いに布団を敷き、壁に向かって眠っていた私。夜中ふと目覚めると、目がほとんど開かないうえ、体も動かないことに気付きました。
「あ、これって金縛り?」
頭の中は、意外と冷静。疲れていると金縛りに遭いやすいと聞いたことがあったため、脳は起きていて体が寝ているだけの物理的な金縛りなんだと思いました。
その思考が寸断されたのは、そのすぐ後。背中に、気配があるのです。
前述した通り壁に向かって寝ていたため、後ろにはなにもないはず。しかし背中にはなにかの気配があり、もはやぬくもりさえ感じるほど「いる」とわかってしまったのです。
私は霊感はないものの、「オバケはいるかいないかわからないけど怖い」と思っているタイプだったため、一瞬で冷や汗をかきました。
また、住んでいた部屋は1階だったこともあり、もしかしたら変質者かも……?という考えもよぎり、さらに恐怖感は増します。
しかし、動けないのです。動けたとしても、振り返る勇気はなかったでしょうけど。
恐怖感と戦っているうちにどうやら眠ってしまったようで、気がついたら朝でした。窓から差し込む光の中、私はまだ壁を向いて横たわっていたのですが、夜中感じた気配はもうありません。おそるおそる振り返っても、やはりなにもありませんでした。
念のため玄関を確認しましたが、カギはしっかりとしまっていたため、変質者という可能性はなさそうです。
あれはただの夢だったんだと自分を納得させたのですが、「なにか」がいたあたりの毛布は、なぜか不自然な膨らみ方をしていたのでした……。
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