浮遊するおじいちゃんの頭
投稿者:六太郎 (2)
短編
2021/10/28
17:27
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数年前に祖父が死去しました。
祖父とは別々に暮らしていましたが、祖父と一緒に住んでいた叔父が海外赴任になり祖父を我が家で引き取って暮らすことになりました。
世話は私の母が行うことになりました。祖父からみたら長男の妻です。
祖父は若い頃に自分の妻を2人も亡くし、唯一残った3人目の妻も愛情が薄い人でしたので私の母が甲斐甲斐しく世話をしてくれたことを内心嬉しいように思っていたようです。母が買い物から帰ってくるのを待ち望んでいるような日々でした。
しかし数か月後、叔父が海外から戻ってきたため祖父は元の家に戻ることになりました。それから間もなく祖父は総合病院に運ばれました。
ガリガリに痩せ目はぎょろりとし、心臓が鼓動をうつ様子まで見える程でした。多くの管に繋がれて苦しそうでした。ある夜危篤の知らせを聞き病院に行くと、出ない声を振り絞り腕を必死で動かそうとして何かを言いたそうに苦しそうに訴えていました。
しかし、祖父は間もなく息を引き取りました。
ある夜、祖父が過ごした我が家で祖父の頭部だけが浮遊しているではありませんか。頭部はカラーで真顔の表情も見えました。祖父が過ごした和室に向かって浮かんで移動していきます。
あれは見間違いかもしれないと思っていたのですが、後に私の父母も庭で祖父の頭部だけが浮かんで移動する様子を見たのです。ふわふわと浮かんではある時スッといなくなりました。
祖父は何かを言いたかったのでしょうか。
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