住民が定着しない不思議なアパート
投稿者:すず (4)
これは私が子供のころに住んでいたアパートの話です。
そこのアパートはなぜか住民が定着せず頻繁に住む人が変わるところでした。せっかく仲良くなったお隣さんもすぐに引越してしまうので子供心に寂しく思っていました。
アパート自体の雰囲気は独特で日中でもなんとなく薄気味悪さがあり、誰かに見られているような気配を感じたり、一人で留守番をするのが怖かった記憶があります。
私は幼少時、ある決まった時間に目を覚ましてしまう癖があったのですが、子供なのですぐにまた眠りに落ちてしまうので特に気にはしていませんでした。
とある夜、私はまた決まった時間に目を覚ましてしまいました。いつものように眠りにつこうと思ったその時、はっと息を飲み込みました。
白い着物を着たおばあさんが私をじっと見ていたのです。表情の無い顔に恐ろしくなりぎゅっと目をつぶり、また目を開けたその時にはもういませんでした。
次の日に家族にその話を恐る恐るしたところ、家族も不思議な体験をしていたことがわかりました。「家の中に知らない男の人がいたから、泥棒か何かかと思い後を追いかけたら消えてしまった…怖がると思って黙っていたんだよ…あんたも見たんだね…。」
その後我が家も引っ越してしまったのでその部屋がどうしてそのような現象がおきるのかはわからないままです。引越して成長すると共に奇妙な体験をすることも、何かを感じることもなくなりました。
まだそのアパートはあの頃と変わらない佇まいでその場にありますが。
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