おじいさんの猫
投稿者:ソンソン (1)
数年前のお話です。
私のおじいさんは、家で1匹の猫を飼っていました。
おそらく雑種で、サビ色の大人の猫でした。子猫のころ、どこかで拾ってきたと話していた記憶があります。
おじいさんは、子猫のころから大変かわいがっていたので、とてもよく懐いていました。おじいさんが猫の名前を呼ぶと、姿が見えなくても、遠くのほうから走って寄り付いてくるほどでした。
私や、他の人が呼んでも、来ることはありませんでした。
そんなある日、おじいさんが亡くなりました。
心臓発作が原因で、急なお別れでした。
家族、親戚一同、大変な悲しみのなかでの、お通夜でした。
お通夜がおわり、おじいさんの家のリビングで、一同が亡くなったおじいさんの昔話など、しんみりとしていた夜更けにそれは起きました。
どこからか猫の静かな足音が聞こえてきたので、おじいさんの猫が外出から帰ってきたことがわかりました。猫はリビングにいる私たちには一切の気を示すことなく、廊下を静かに歩いて、かつてのおじいさんの部屋の前で止まりました。
ドアの前に座ると、じっとドアの方を見つめていました。
猫の悲しげなしぐさを見た私たちは、猫もおじいさんが亡くなったことを察しているのかな、とてもかわいがってもらっていたので、寂しいのだろうな、などとお話をしていました。
しんみりとした時間が続いている、そんなとき、おじいさんの部屋の方から、「カチャッ」という音とともに、ドアが開く感覚がしました。
そこには誰もいるはずがなく、猫もドアノブを開けることはできません。
そしてドアの前に座っていたおじいさんの猫は、静かにおじいさんの部屋に吸い込まれるように入っていきました。
その後のことは誰も詮索しませんでした。
きっと最期のあいさつをしているのだろうと皆が感じていました。
残暑が厳しい、静かな深夜のできごとでした。
なんか泣けてくる
いい話やないかぁー!
猫も人間もわかりあえるって素敵な関係ですよね。おじいさんの御冥福をお祈り申し上げます。猫ちゃんも幸せでありますように。