網戸の外から聞こえる「じゃきーん」という音
投稿者:鱈尾 (1)
私が中学生の時の話です。当時は田舎にある実家に住んでおり、周りは田んぼに囲まれていて夏になるとカエルや蝉の鳴き声が聞こえてくるような場所でした。
その日は夏の終わり頃で、ベットの近くの窓を開け網戸にすると程よい風が通りました。そして、いつも通り灯りを消し眠りについたのです。
しかし、ふと目が覚めました。
ブランケットから出ている足が異様に冷え、心臓がざわつき身体を動かすことができません。真っ暗な部屋の中、天井を眺めることしかできずパニックになりました。
耳鳴りがひどく普段うるさい虫の声も一切聞こえません。
私は寝る前にホラー特集を見たことを後悔しました。今にも視界の端から天井に張り付いた髪の長い女がこちらに向かてくるような気がするではありませんか。
想像が膨らみ動悸が激しくなってくると、
… …じゃきーん………じゃきーん….. …….
音がしました。
まるで大きい鋭利なはさみを閉じているような音が、網戸の外から聞こえるのです。
そちらに意識が向くとだんだん音が近づいて来るのがわかります。
…じゃきーん…じゃきーん…
網戸のすぐそこまで来てしまいました。壁に張り付きこちらを凝視しているのを感じます。
他にも家はあるのになぜここに来たのでしょうか。わかりません。思考だけが加速し永遠のように感じます。指先すら1ミリも動かず身体が鉛のように重くベッドに縛りつき逃げられません。あ、網戸がうごく…
目が覚めました。
朝日が差し込み暖かさを感じます。
あれが何だったのかは分かりません。しかしその日以降窓の鍵を閉めないと眠れなくなりました。
今となっては生きた人間ではなくお化けの類であったことを祈るばかりです。
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