思い出のビデオテープ

今から3年程前の事です。
新年が明けて間もない頃、中学校時代の友人から手紙が届きました。
中を開けてみると同窓会に関するお知らせでした。
昭和何年度卒業生で同窓会は経験があったのですが手紙には中学校3年生の頃の
クラスメイトだけで同窓会をしないかという内容でした。
どうやら、3年生の頃に担任をしていた方が奥さんのご実家の都合で退職されて跡継ぎになられるらしく3月で退職するようでした。
先生には在学中にかなりご迷惑をお掛けしており助けていただいた記憶が多々あったので参加を決めました。

事前打ち合わせをしたいので参加できる方はメールをくださいとのことでメールを送るとすぐに返事をくれて打ち合わせを一週間後に近所の居酒屋ですることになりました。
一週間経ち居酒屋で打ち合わせをすることになりました。
行ってみると既にほかの人は来ており自分を含めて6人での打ち合わせとなりました。どうやら、県外就職されている方や中には海外で仕事をされている方もおり集まれたのが地元就職をしているこの6人だけだったようです。

最初はどうやって進めていくのか、場所はどこにするかなど具体的な打ち合わせを1時間程進めていくのですが時間とともに話は脱線し中には卒業以来会っていなかった友人もいたためか昔話に花を咲かせるようになりました。

そんな時A君が不意に「あいちゃん覚えてる？」と聞いてきたのです。
「あいちゃん？って愛子の事？」「そうその愛ちゃん」
あいちゃんは小学校のころからの友達で当時はかなり可愛かった印象がありました。
勉強も出来てピアノが趣味だったのですが、一つ問題点がありました。

今でいうところのメンヘラやヤンデレに分類されるのでしょうか、
例えば中学校に入学して間もない頃に3年生の先輩にサッカー部のイケメンがおり
初めて見た瞬間に「この人は自分と結婚する人だ」と勝手に決めつけ
近づこうとする他の女生徒に威嚇したり物を投げつけたりと問題行動を起こしておりそのイケメンに対しても女生徒と話しているのを見ただけで、「私が居るのだから浮気はダメよ」と怒ったり方々で問題を起こしていました。

「あいちゃん結婚したんだぜ」とAに言われました。

年齢的にしても不思議ではありませんでしたが相手を聞いて愕然としました。
「なんと相手はあの佐々木」
佐々木は中学校サッカー部のエースであり高校も早いうちからスカウトで1学期の時点で既に進学先が決まっておりかなり実力のある選手でした。
勉強も出来てかっこよく、他校の生徒がわざわざ校門前に待ち伏せをしに来るほどでかなりの人気者でした。
その佐々木と結婚とは驚きましたが実は佐々木にはある問題があったのです。

「そういえば佐々木ってあの事故どうなったんだ？」とAに聞いたところ
「事故？ああ転落事故だろ？下半身まひだってよ」

あれは中学3年生の三学期だったと思います。
丁度受験シーズンに突入しており休み時間もみんな揃って教室で勉強に明け暮れていました。
そのためか昼休みでさえ廊下に出る人が殆どおらず校庭で遊ぶ人は皆無でした。
ただ一部受験とは何の関係も無い人たちが居ました。
それは佐々木を含む人達で佐々木のようにスカウトされて試験免除で合格が確定している者もいれば私立への入学や通信制への入学などもおり勉強の邪魔にならないように教室にはおらず遊びに行ったり図書室で過ごすようにしていました。