ひとりだった僕の大切な友達、テルアキ
投稿者:浅蜊 (2)
短編
2021/08/06
08:56
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僕には小学校低学年の頃にテルアキという友達がいました。テルアキとは家の前の公園で出会い、一緒に砂場で遊んだり僕の家でゲームをしたりしました。小学校に入学して数年間は仲のいい友達がおらず、両親は共働きで一人っ子だった僕にとってテルアキは寂しさから救ってくれる大切な友達でした。
テルアキとは同じ幼稚園でも学校でもなかったの、彼がどこに住んでいてどこの学校に通っているのかは僕はわかりませんでした。まだ小学校低学年だったあの頃の僕にはそんなことはどうでもよかったので聞かなかったのかもしれません。でも少し僕よりも身体が大きかったので年上な気はしていました。
小学校高学年になる頃には僕にも学校内での友達が増えてきました。小さい子供にとってよくあることですが、友達はコロコロと変わるものなので、テルアキとは次第に遊ばなくなりました。
すると、ある日から家の前の公園でテルアキの姿を見ることがなくなりました。僕たちが出会った頃はテルアキはいつも1人で公園で遊んでいたのにです。母親や友達にテルアキのことを話したのですが、誰もテルアキのような子どもを見たことがないと言っていました。
大人になってから母から聞いたことなのですが、僕には本当は1つ上の兄がいるはずだったそうです。兄になるはずだった子は生まれる前に流産してしまったそうです。今思うとひとりで寂しい僕と遊んでくれたテルアキは生まれてくるはずだった僕の兄だったのではないかと思います。
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