奇々怪々 お知らせ

心霊

カラカラさんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

無邪気と廃墟
長編 2026/10/30 16:08 292view

その時です。

背後から、パタパタと小さな足音が聞こえました。

まるで裸足の子供が、こちらへ駆け寄ってくるような音でした。

友達が私の腕を握る力を強めました。

その瞬間、私は玄関の磨りガラスに映るものを見てしまいました。

私の後ろに、子供が立っていました。

背丈は私と同じくらい。

けれど、頭が異様に大きく、首が右に傾いていました。

顔は磨りガラス越しでよく見えません。

ただ、その子供が両手に何かを抱えているのだけはわかりました。

赤いゴムボールでした。

私が蹴って、庭に転がったはずのボール。

それが、どうしてあの子の手にあるのか。

足音が、また一歩近づきました。

「一緒に遊ぼうよ」

友達が叫びました。

「走れ!」

私たちは玄関を飛び出し、転がるように道路まで逃げました。

振り返ると、古い平屋は相変わらずそこにありました。

傾いた屋根。

黒ずんだ壁。
倒れた錆びた自転車。

そして、さっきまで開いていたはずの玄関は、ぴたりと閉まっていました。

私たちは息が切れるまで走り続けました。

ようやく友達の家に着いた時、私は泣きながら、あの家で起きたことを話しました。

友達は黙って聞いていましたが、話し終えると、私の顔をじっと見て言いました。

「お前、何食った?」

「クッキー……」

「どんなクッキーだよ」

「普通のクッキーだよ。おいしかったんだ」

4/7
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。