そうだ。あの時、タカシが鱗を剥がすのを、俺は笑いながら手伝った。
「綺麗だな」なんて言いながら、二人がかりで、あの死骸を丸裸にしたんだ。
その瞬間、俺の全身の皮膚が、内側から激しく波打ち始めた。
ピキ、ピキピキッ、と、骨が組み変わるような音とともに、首筋から頬にかけて、冷たくて硬い感触がせり上がってくる。
俺はたまらず、図書室の鏡を見た。
そこには、首と体や頭の境が見えないほど膨らみ、顔の半分がびっしりと硬い鱗に覆われた男が映っていた。
瞬きをすると、まぶたの裏側まで鱗が浸食しているのか、ジャリッとした不快な音が脳内に響く。
「……ねえ、次は何を剥がそうか」
タカシが口を開くと、その口の中から、何十枚もの小さな鱗が、歯のように生え揃っているのが見えた。
今、俺の部屋でも、ズル……ズル……と、皮膚が床と擦れる音が響いている。
脱皮を繰り返すごとに、俺は少しずつ、人間ではなくなっていく。
あれから俺は部屋から一歩も出られていない。出られるわけがない。こんな姿になってしまったのだから。
もしあなたが何気に道を歩いていて、気になる何かを見つけても一度立ち止まって欲しい。
「いけないこと」は思っているよりもあなたの身近にあるかもしれないから。
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