私を守ってくれているもの
投稿者:アンネ (2)
祖父は私が仕事に忙殺されている様子を見て、心配し、悲しんでいたように今では思います。
その証拠に、私が倒れて病院に運ばれてから、夢に現れる祖父は安心したように、ニコニコと微笑んでいたのですから。
私はその後、二週間ほど入院し、無事に退院することができました。
そして、私は辞表を提出し、会社を辞めました。
不思議なことに、会社を辞めてからと言うもの、仏壇の前に座って祖父の写真と向き合う夢を見ることはなくなってしまいました。
その後、私は荷物をまとめ、一人暮らしの家を引き払い、実家に戻ることになりました。
実家に帰って真っ先に私が向かった先は、祖父の写真が飾ってある仏壇の前でした。
私は手を合わせながら、「ありがとう」と心のなかで呟きました。
それからと言うもの、私が悩んだり迷ったり、決断を決めかねているような時は祖父の写真がヒントをくれるようになったのです。
それはどう言うことかと言うと、私が間違った判断をしようとしている時は、祖父が曇った顔をしているように見え、正しい判断をしようとしている時は微笑んでいるように見えると言った具合なのです。
気のせいと言ってしまえばそれまでですが、私には祖父がいつでも見守ってくれている合図のように感じます。
その証拠と言ってはなんですが、このような体験をしたのは何も、私一人ではなかったのです。
後に分かったことなのですが、似たような体験を離れて暮らす私の妹もしていたのです。
妹は医療職として働いているため、夜勤で束の間の仮眠を取ってるいる時に仏壇の前に座り祖父の写真を見つめている夢を見ることがよくあるのだそうです。
しかしながら、私の場合と違うことは、写真の祖父は大笑いしているのだそうです。
生前、祖父は妹をからかうのが好きだったので、さもありなんと私はその話を聞いた時、思わず笑ってしまいました。
妹は怖がりなので、「まじやめてほしい」と苦笑いしていましたが、きっとこれからも夢にからかいに現れることでしょう。
私は今、実家にいるので毎日直接祖父の写真と顔を合わせることができますが、離れて暮らす妹はそう言うわけにはいきません。
だからこそ、妹が仮眠を取るたびに現れているのではないかと私は思っています。
亡くなる直前、私たち姉妹を頼むと言い残したらしいので、私たちに対する並々ならぬ思いがあるのは確かです。
母は、「そこはおばあちゃんを頼むでしょ!」と今でもことあるごとに、思い出したように突っ込んでいます。
子供好きで、さらには孫となれば可愛さ100倍と言った感じの祖父で、ユーモアとお酒を愛した人でした。
私は仏壇の前に座って祖父の写真を見ながら、「おばあちゃんにも顔を見せてあげてよ」と毎晩のように呟いています。
なぜなら、祖母が「私のところにはちっとも出てこない」とぼやいていたからです。
しかし、実際に祖母の前に現れようものなら、「お迎えが来た」と祖母がオロオロするのが目に見えていて、祖父は姿を見せないのだとも同時に私は思っています。
科学では証明できず、特に私の話は気のせいで済ませてしまえるような話でもあります。
しかしながら、摩訶不思議なことが起こるのがこの世だと私は思っています。
そして、誰かを大切に思う気持ちと言うものは、たとえ死んでしまったとしても決して消え去ることはないのだと思います。
そんなふうに、亡き大切な人に支えられながら、見守られながら私たちは日々を生きているのではないでしょうか。
だからこそ、時に人生には奇跡のようなことが起きるし、心霊現象なども亡き人々のさまざまな消化しきれぬ思いが引き起こしているのでしょう。
怖さより、ほっこりする話だと思います。
私の父は、あまり夢に出てきてくれないな。