古民家カフェ
投稿者:豊 (1)
短編
2025/01/18
10:18
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俺は怖くなり、彼女の腕を引っ張ってレジに行き「お釣りはいらないんで」といって多めに金を置いてカフェを出た。
女性店員が、機械のような抑揚のない声で
「またいつでもきてくださいねー」
と言っていたのが恐ろしかった。
外に出て、彼女と公園に行き気持ちを落ち着かせた。
彼女は「本当は入った時からずっと怖かった」と泣きながら言った。
彼女曰く、ずっと誰かが自分達を監視している強い視線を感じたのだという。
しかし、それよりももっと怖いオチがある。
実はこの古民家カフェ、存在していなかったのだ。
親や友達に一連の出来事を話したのだが「え、あんなところに古民家カフェなんてなかったよ」と言われた。
彼女も同じことを言われたらしい。
もう近づくのも嫌だったが、念のため確認しに行った。
すると古民家カフェがあったはずの場所は空き地になっており、小さな祠がひとつ建っているだけだった。
その祠にはコップに入った水が供えられていたのだが、そのレトロな花柄のコップには見覚えがあった。
あの古民家カフェで出されたお冷のコップだ。
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