揺れる歩道橋
投稿者:三井戸 (2)
それは、国道の道を一歩一歩確かに踏み歩き。歩く度に腰が抜けるほどの揺れを生んでいました。
それはこちらに近づいてきており、そのたびに揺れは徐々に大きくなる。
動くこともままならないほどの揺れでした。もしかしたら、恐怖で身体が動かなかっただけなのかもしれません。
揺れて、揺れて。揺れて。
巨人が、こちらに。近づいて。
その両足が真上を通過し、通り去るまで。
私は動けませんでした。
その巨人の進む先を見て、こちらを振り返らないことを確認した私は。
揺れが続く歩道橋の上を、ゆっくりと這って進み、階段を逃げるように降りて自宅に帰宅しました。
帰宅してもあの巨人が鳴らす地ならしの音は鳴りやまず、布団の中に身体を隠し、両耳を塞ぎながら立ち去るのを待っていました。
その音は、一時間程鳴りやむことはなく。気づいた時には朝を迎えており、あの足音はいつの間にか聞こえなくなっていたのでした。
私が体験したことは以上でした。
あの巨人は何故、闊歩していたのか。巨人の話が噂にもなっておらず、何故私だけがこのことを覚えているのか。一切わかりません。
ただ、噂と言えば。もう一つお話するべき
あの夜の日が開けたその日、マンションの建設現場が破壊されている事件が起きたのです。
横から、何か巨大な物がぶつけられたかのように倒壊しており。誰の手によって壊されたのかはわからずじまいでした。
しかし、そのマンションだけが壊されたことである噂が流れ始めました。
その建設地にはもともと小さな社と鳥居がありましたが、老朽化していたこともあり取り壊され、その上にマンションを立てていたそうです。
どのような存在を祀っていたのかはわかりません。しかし、儀式を得た上で取り壊されたわけではなく。祟りなのではないのかと噂されていました。
まぁ。それも一か月前の話で。今はその噂をする人は一人もいなくなりましたがね。
不思議な体験ですね。