それを確認した猿は私の隣に座っていた人へ向かってきました。
そして「次は溺没、溺没」としゃべり始めました。
しかし、すぐに何か起こるわけではなく、私が当時「溺没」の意味を知らなかったこともあり、何も起こらないのではと思いました。
しかし、少し経つとだんだんと肌の色が青ざめ、ブクブクと音が鳴り体が小刻みに震えだしていました。
そして口を開け、多量の水を吐き出しながら倒れこんでしまいました。
私は何が起こったのか分からなく気が動転し、次自分が死ぬと考えると恐怖で泣き叫びそうになりました。
しかし、何をしても体を動かすことはできませんでした。
そんな中、猿がこちらに向かってきて目の前に立ちました。そして「次は終点喰千切り、喰千切り」としゃべりだし口を大きく開きました。
口の中には無数の釘のような歯が並び、ところどころ赤く染まっていました。
だんだん近づいてくると共に、死ぬという実感が強くなり鼓動が今までにない程早くなっていました。
最後までもがき続け、猿が直前に来たところでついに目を覚ましました。
起きた時の私は半泣き状態でしたが、夢が終わったことと実際に死ななかったことに安堵しました。
朝の準備を済ませ落ち着きを取り戻し、夢の内容は今までにないほど怖い内容でしたが話のネタができたと思いワクワクしながら学校に向かいました。
しかし、朝のホームルームで猿夢の話をした友達が昨日の夜、風呂場で溺死したことを知らされました。
その時、私は夢の中で隣に座っていた人がその友達であることと同時に溺没=溺死であることに気が付きました。
そして、そのことに気づくと同時に「またのご乗車お待ちしております」とあの不気味な声が聞こえてきました。
私は酷く怯え、あの夢の話を誰かにしてしまったら殺されるのではないかと思いその話をすることなく怖い話自体にも参加しなくなりました。
友達は猿夢の話をしたから死んでしまったのか。
私の夢とリンクしていたのは偶然なのか。
今もどうなのかは分かっていません。
いい名前だな