トトロはあながち嘘ではないのかも

確信は無いが、わかった。こだま様が隠れているのはこの場所だ。

私とAはその木に近づいていく。私たちと同じくらいの背丈しかないが、本当に美しく、神々しい木である。

その木に手を当てて、二人で一緒に言った。

「こだま様、みーつけた」

この瞬間、一月の極寒の山中であるにも関わらず、心の底からとても暖かくなるような感じがした。自分のおかげで人が喜んでいるところを見ると、心が温かくなるだろう。あの感覚が、自然に湧いてきた。なぜか、私とAは、とてもうれしい気持ちになっていた。

ころん、と足元で音がした。そこには、その木に似て、月の光をまとったような艶やかさで美しい、どんぐりが二つ転がっていた。

それは私たちが幼いころ、欲しがっていたどんぐりだとすぐに分かった。

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私がその年、橋下家で過ごす最後の日になった。

何度見直しても見入るように綺麗などんぐりだな～と思った。

Aはこれをお守りにするという。私はこのどんぐり、もっといっぱい欲しいな～と思い、実家の庭にでも植えようかなと不誠実な考えを持ったりしていた。

それにしても、こだま様は１７年間もかくれんぼで見つけてくれるのを待っていたのか。

寂しかっただろうに。そりゃ私たちにあげようと準備していたどんぐりも発芽して木になるわ、とくだらない思いにふけった。

「子供の時にだけ　あなたに訪れる　不思議な出会い」

トトロみたいな存在って、あながち迷信ではなく、ほんとにあるのかもしれない。

同じような体験をしたことある人は教えてください。