鹿の霊
投稿者:きょうち (1)
短編
2023/02/05
23:47
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私と、お母さん、当時4才の妹と、夕方リビングでテレビを見ながら、道路維持の仕事をしているお父さんの帰りを待っていました。
いつもどおりお父さんが仕事から帰ってきて、扉を開けてリビングに入ってきました。
ところが、妹がお父さんを見た瞬間、急に大泣きし始め、お父さんから目を逸らしました。
なぜ泣き出したのか分からず、家族みんな唖然としていました。
お母さんが「どうしたの。なんで泣いてるの。」と聞くと、妹が泣きながら「お父さんの頭に角がある。」と答えました。
なんとなく、4才の子どもが言うことだし、ふざけて言っているのかなとも思いましたが、お父さんが「実は今日、死んだ鹿の処理の手伝いに行ってたんだよね。捌いたりするの手伝ってきてさ。」と話しました。
もちろん動物の死体処理は普段しない仕事なので、妹が「お父さんが鹿の死体処理をしてきた」なんて想像できるはずもありません。
妹が「頭に角がある。」と言ったのは嘘ではないと分かった瞬間、空気が凍りついて、鳥肌が止まりませんでした。
すぐに塩をまいて、玄関に盛り塩を置きました。2時間くらいして「もう角がなくなった。」と妹が言っていましたが、角の正体が、捌いた鹿だと思うと未だに鳥肌が止まりません。鹿を見る度に思い出します。
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妹さんが凄い。