我が家の小さな穴
投稿者:百景 (1)
5年ほど前、私達一家はそれまで住んでいた会社の社宅から念願だった新居に引っ越しました。
中古の物件だったのですが、値段も手頃で、築10年くらいで中も外も損傷や劣化している箇所はほとんどなく、住み心地の良い家で満足していました。
1箇所、2階の部屋の内壁に直径5センチくらいの小さな穴が空いていたのですが、特に生活には支障はないため、住み始めてからしばらくはそのままにしておいたのですが、見た目的に違和感があるということで、簡単に板を取り付け、穴を塞ぐ修理を行いました。
それからしばらくすると、家の中で不思議なことがいくつか起こりました。
夜締めたはずの窓の鍵が朝になって開いていた、朝起きたらオーブントースターの中に勝手に食パンが入っていた、朝起きたら閉めたはずのカーテンが開いていた、等、朝起きると家族に身に覚えのないことが起きるようになったのです。
また、そうしたことが続いていたある晩、娘がトイレに起きた際に、10センチくらいの白い小人のようなシルエットを見たというのです。
私は人形のおもちゃを見間違えたのではないか、と言いましたが、娘は、「あれは小人だ、以前塞いだ穴は小人のお家につながっているんだ、穴を塞いじゃったからお家に帰れなくなっていたずらをしているんだ」と言いました。
まさかとは思いましたが、確かに穴を塞いだ後から奇妙なできごとは起こり続けており、どっちにしろ穴は開いていても問題はなかったので、娘の言うことに従い、穴を塞いでいた板を取り外しました。
すると、その後そういった奇妙なできごとは起こらなくなりました。
結局、原因は家族の勘違いや記憶違いだったのか、それとも本当に娘の言う通りだったのか、今となっては分かりませんが、それ以降はその穴は塞がない状態にしております。
娘の言う通りだったとしたら、小人さん、すみませんでした。
娘さんが小人だと言うなら小人なんでしょうね。