あれは
投稿者:古川ゆう (1)
短編
2022/12/20
16:28
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電話越しに僕は声を荒げ呼吸も速めた。
後輩「待って、そんな焦ってどしたん…?」
不安と恐怖でその場所にいるのがたまらなく嫌になって生唾をゴクリと呑み込む。
頭の中で、現状起きている事が理解できないし
理解したくもなくて僕は言葉を詰まらせながら後輩に電話越しに話した。
僕「あ…あのさ、電話かかって来る前、あの端に見えるカーブからお前が来たけん手振ったんよ。」
僕「やったら手振り返してきて、確かにあれはお前やったんよ。」
僕「でもお前は今から行くって…。」
僕「嘘じゃないよな…?」
後輩は黙り込み己を落ち着かせるように深呼吸をして口を開いた。
後輩「ううん、それは俺じゃないよ。」
後輩「現に今、家の玄関おるし。」
後輩「ちょっと嫌な予感するしダッシュで行くわ。」
後輩がこんなに頼もしいとは思ってもみなかった。
正直惚れそうであった。
後輩が来るまでの間、特に何も無かったが僕はその場から動けず震えて待っていたのを覚えている。
1つ、後輩が来ておかしな点に気づいたとするならば服装だ。
僕が手を振った人影は白い服に黒のズボン
後輩が着て来た服は赤い服に紫の学生ジャージ
全てが違った。
僕が見た「あれは」なんだったのだろう。
その後、僕達は40〜50分放置して伸びきったカップラーメンを急いで食べて後輩をそのまま僕の家に泊まらせ一緒に寝た。
あの日、後輩に何度も問い詰めたが本当に違うらしい。
おしまい。
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