気のせいじゃないよ
投稿者:ぞっくかね (3)
短編
2022/11/20
19:11
1,241view
私の友人は山の近くに住んでいます。その辺りは交通量が少ないため、夜は鳥の鳴き声やコオロギなどの虫の鳴き声が聴こえてうるさいのだそうです。
最近部屋のエアコンが壊れた友人は、寝苦しい日々を送っていました。その日もやはり蒸し暑くて、夜中の2時過ぎに目が覚めたのだといいます。
今日も動物の鳴き声がうるさいな、と思いながらコップに水を汲みに行こうとしたとき、
鳴き声の中に「あらやだぁ」「もう〜」といった人の声が混ざって聴こえることに気がついたのだそうです。
何人かのおばさんが近くで喋っている。そう思った友人は耳をそばだてました。
しかし、会話の内容まではよく聴き取れません。
「深夜2時におばさんがこんなところに集まって、何を話しているんだ?」
好奇心が湧いた友人は窓の外を覗いてみました。
人らしき姿はどこにも見えず、暗闇が広がるばかりです。
話し声の聴こえる方角も、鳥や虫の鳴き声がヤカマシイのでよくわかりません。
気のせいかな、と思って友人はカーテンを閉めました。
するとその瞬間、
「気のせいじゃないよ」
と会話がひと声だけはっきりと聴き取れました。
この言葉に寒気を覚えた友人は喉の渇きも忘れ、耳を塞ぐようにして無理矢理寝たそうです。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 13票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。